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4万人以上の負傷データなどをAIが分析

 今回のDigital AthleteはNext Gen Statsを発展させ、選手の安全性を高め、ケガの予測や予防につなげるためのシステム基盤作りを目指すものだ。NFLでは近年、脳振盪(しんとう)などの脳障害を何度も起こしたことが原因で「タウ」というタンパク質が異常な構造に変化して蓄積し、記憶障害や認知障害、抑うつなどの進行性症状を引き起こす「慢性外傷性脳症(CTE)」を中心とした脳損傷が大きな問題となっている。このために、ルール改正や診断のガイドライン策定などの対策に追われてきた。その一環としてAWSを活用しようというのである。

 Digital AthleteにはAWSの機械学習サービス「Amazon SageMaker」や画像・動画認識AIサービス「Amazon Rekognition」などが使用される予定だ。NFLが持つ過去10年間にわたる4万2000人の負傷者と8000人の選手に関する情報を収集したデータベースや、過去20年以上の動画データから選手の姿勢やプレーの種類、使用していた用具、芝の種類、環境ファクターなどを分析。試合環境における膨大なシナリオを実行し、負傷のリスクを評価するシミュレーションモデルの構築を目指すという。

 シミュレーションから得られた知見によってより安全なヘルメットの開発や危険なプレーを防ぐためのルール改正、ケガをしにくい動作やプレースタイルの周知、チームの指導方法へのアドバイスなどにつなげたい考えだ。

 グッデル・コミッショナーは「NFLはフットボールの将来を見直すことに尽力しています。選手の健康と安全性を向上させるために次世代テクノロジーを活用できれば、選手からクラブ、ファンまで全員が勝者になれます」とコメントした。一方、ジャシーCEOは「このパートナーシップは、NFLとAWSが負傷を防ぐための新しいアプローチと先進的なツールを開発する機会であり、その両方はフットボールを超える可能性があります」とした。NFLだけでなく、他のスポーツにも知見を展開していくことに意欲を見せた。

NFLの「PLAYER HEALTH&SAFETY」のWebページ。NFLはリーグとして、選手の健康や安全の確保に取り組んでいる。背景には、深刻な「脳しんとう」問題がある
NFLの「PLAYER HEALTH&SAFETY」のWebページ。NFLはリーグとして、選手の健康や安全の確保に取り組んでいる。背景には、深刻な「脳しんとう」問題がある
(図:NFL)
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