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 米国時間で2020年3月3日、米マイクロソフトとプロアメリカンフットボールNFLがテクノロジー分野でのパートナーシップを強化すると発表した。マイクロソフトは2013年に5年総額4億ドルと見られる契約をNFLと結び、以降、「公式サイドラインテクノロジープロバイダー」という公式スポンサーの地位を守ってきた。今回はその契約を複数年更新したものだ。契約金額などは公表されていない。

 ではどのような点が“強化”されたのか。マイクロソフトのチャットツール「Teams」の採用である。NFL全32チームがTeamsを利用できるようになるという。

 Teams は、Windows、iOS、Android デバイス間でシームレスに動作するように設計されており、チャットや通話、会議、ファイル、ドキュメントコラボレーション、ワークフローといった機能を単一のアプリケーションから提供できるのが特徴だ。Teamsを使い、各チーム内、リーグ組織全体でコラボレーションできることが期待されている。

Slackに対抗意識

 既にTeamsを導入しているチームもある。ニューヨーク・ジェッツは2020年4月にラスベガスで行われるドラフトで、Teamsを使い会場のスタッフとニュージャージー州のチーム本部を接続し、指名選手などのメッセージをリアルタイムにやりとりする予定だという。

 2月に開催された「第54回スーパーボウル」で優勝したカンザスシティ・チーフスは、スカウトらがTeamsを使って出張スケジュールを調整している。またマイアミ・ドルフィンズは本拠地ハードロック・スタジアムで開催されたスーパーボウルの開催計画をTeams上で管理した。

 ドルフィンズのキム・ロメト副社長は「ドルフィンズでは、部門間を横断する戦略的プロジェクトのすべてで Teams を活用しています。Teams によって、容易にファイル上でコラボレーションができるほか、共有カレンダーの管理やミーティングの実施、既存統合機能の活用などが可能です。レギュラーシーズンからスーパーボウルの計画に至るまで、NFL と協力ができたのも Teams があったからこそといえます」とその利点を強調している。

 マイクロソフトがNFLにTeams導入を推し進めた背景には同じチャットツール、Slackとの競争が激化していることがあるようだ。今回の発表の数週間前、米IBMが従業員の内部コミュニケーションツールにTeamsではなくSlackを採用していた。また2019年11月には、マイクロソフトが1日のアクティブユーザー数はSlackの約1200万人に対し、Teamsが約2000万人と競合を意識した発表も行っている。

 2019年シーズン、米国でのNFLテレビ中継の平均視聴者数は1650万人に達し、その人気は群を抜く。そのNFLでTeamsが導入されることはマイクロソフトにとって大きなブランドアピールになることだろう。