全2483文字

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行が続く中、米国のプロスポーツ界では無観客や入場者数を制限しての試合開催が続けられている。大幅な入場料収入の減少をわずかでも補う策として定着するか注目されているのが、事前検査を実施して入場を許可するプランだ。

 プロアメリカンフットボールNFLのカンザスシティ・チーフスは2020-21シーズン、本拠地アローヘッド・スタジアムのホームゲームで入場者数を本来の22%、約1万6000人に制限している。その一方で、127あるスイートボックスは約1000人、ほぼ満員となる状況が続く。これはスイートボックスのゲストに対し、事前検査を行い陰性と診断された人のみの入場を許可しているからだ。

NFLのカンザスシティ・チーフスの本拠地アローヘッド・スタジアム。チーフスのホームページより
NFLのカンザスシティ・チーフスの本拠地アローヘッド・スタジアム。チーフスのホームページより
(図:カンザスシティ・チーフス)
[画像のクリックで拡大表示]

 チーフスによれば、カンザスシティーの保健当局は当初、スイートボックスに観客を入れることに反対の姿勢だったという。だが、交渉を重ねた結果、陰性の診断が出れば入場を許可することへの合意を取り付けたのだ。

 システムとしてはスイートを購入している企業などは試合の1週間前までに入場予定者のリストを提出し、契約している検査機関から全ゲスト分の唾液を使って判定する検査キットを受け取る。その後検体を試合開始の72時間前までに検査機関に提出し、判定を受ける。検査結果が出るまではチケットは送付されない。陽性者が出た場合はゲストの変更は許されず、チケットは交付されないというものだ。

 検査費用は8試合のレギュラーシーズンを通じて合計で200万ドルに達するものの、全額チーフスが負担する。スイートの販売価格は1室数万ドルから10万ドルを超えるものもあると見られ、払い戻しにするよりも費用負担をした方がましという判断がなされたようだ。

 ただ、このシステムもうまくいくと保証されたものではない。2020年9月10日に行われた開幕戦では手順がうまくいかず、検査で陰性となっていないゲスト1人が入場する事態が起こっている。そのゲストは翌日に行った検査で陽性と判明した。保健当局とチーフスはただちに手順の強化を発表し、以後問題は起こっていない。