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 米国のプロスポーツ界で、SNSの活用が活気を帯びている。スポーツへの関心が薄いとされる若者層の取り込みに有効と考えられているからだ。特に「Snapchat(スナップチャット)」や「TikTok(ティックトック)」、「Triller(トリラー)」といった短尺動画系SNSは近年盛んに使われるようになった。一方で、それが多くのチームで音楽の著作権侵害という新たな頭痛の種となっている。

 ほとんどのチームは、レコードレーベルや音楽出版社など著作権を保有する企業、団体とスタジアムやアリーナで自由に音楽を流すことができる契約を結んでいる。そのため、場内の音響システムでその音楽をかけること自体は問題がない。ただビデオの背景で音楽が流れていると事情が違ってくる。練習中に選手が音楽に合わせて踊っていたり、選手がカメラに向かって話しているときにスタジアムで流れていたりする音楽である。そうしたビデオが投稿・配信されることは、従来の契約の範囲を超え、著作権侵害になるというのが音楽業界側の考えなのだ。

 この件を2020年11月18日に最初に報じたCBSスポーツによれば、数週間の間にプロアメリカンフットボールNFLの複数のチームが音楽業界から警告を受けたということだ。チームは公表していないものの、アリゾナ・カーディナルスは少なくとも1つのレコードレーベルに対し、数十万ドル単位の賠償金を支払ったとも報じられている。

NFLのアリゾナ・カーディナルスのSnapchatへの投稿
NFLのアリゾナ・カーディナルスのSnapchatへの投稿
(図:Snapchat)
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 音楽業界側の主張は「デジタルミレニアム著作権法(DMCA)」に基づいたもののようだ。これは1998年に制定された法律で、適切にライセンスが取得されていない場合、著作権者が自分の素材をインターネットから削除することを要求できるというのが骨子である。2000年代初頭に、この法律を使ってレコード会社がナップスターのようなファイル共有サイトを訴えたり、大学生などに対し音楽を海賊版として公開していたことに警告・提訴したことでも知られる。

 この件についてNFLの広報担当ブライアン・マッカーシー氏は「NFLとそのクラブは何十年もの間、音楽業界やアーティストと協力してきました。コンテンツプロバイダーとして、我々は音楽出版社の作品と著作権を尊重しており、今後もさらに協力していきたいと考えています」とコメントしている。