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 2020年、新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、eスポーツの世界にも様々な影響を与えた。まず、ビデオゲーム自体は世界的な巣ごもり需要によって世界での収益を前年から20%増の1800億ドルにまで伸ばした。これは休業や閉鎖によって縮小した映画の興行収入が130億ドル未満、主要スポーツリーグの合計収入の750億ドルを大きく上回る数字だ。

 特にゲームコンソールの販売が好調で、任天堂は、「Switch」および「Switch Lite」の販売台数が予想より26%増加しており、21年3月末までに2400万台の販売を見込むとしている。20年11月に新世代機を発売した米Sony Interactive Entertainment(SIE、ソニー・インタラクティブエンタテインメント)と米Microsoft(マイクロソフト)も例外ではなく、20年末までに「PlayStation 5」を370万台、「Xbox Series X/S」を200万台販売したようだ。いずれも世界的に品薄な状態が続く。

 それ以上に大きな成長を見せたのがゲームに関連したストリーミング配信である。米調査会社のStream Hatchetはゲーム関連のストリーミング配信を行うTwitch、YouTube Gaming、Facebook Gaming、Mixerの視聴時間が20年3月以降に急増し、20年第3四半期の1週間の平均視聴時間は前年同期比で73%増、5億時間を突破したと発表している。

ゲーム関連の米ストリーミング配信大手における1週間の合計視聴時間の推移。20年は19年比で73%増加した。Stream Hatchetの調べ
ゲーム関連の米ストリーミング配信大手における1週間の合計視聴時間の推移。20年は19年比で73%増加した。Stream Hatchetの調べ
(図:Stream Hatchet)
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 最も多く視聴されたのはTwitchで、同年第2四半期の合計視聴時間は51億時間に達した。第3四半期は約3億7500万時間減って47億時間となったが、2位のYouTube Gamingの17億時間を大きく引き離している。

Twitch、YouTube Gaming、Facebook Gamingにおける視聴時間の推移。Twitchの20年第2四半期の51億時間が最高。Stream Hatchetの調べ
Twitch、YouTube Gaming、Facebook Gamingにおける視聴時間の推移。Twitchの20年第2四半期の51億時間が最高。Stream Hatchetの調べ
(図:Stream Hatchet)
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 Twitchで20年に最も視聴されたゲームは「League of Legends」で、「Fortnite」が続く。この順位は前年と変わっていない。また、トップ10以内に最初のタイトルが10年以上前に発売された「Counter-Strike」、「Dota 2」、「World of Warcraft」、「Call of Duty」が入っており、eスポーツにおける人気ゲームの息の長さが表れた形だ。

 Twitchの人気の高さの一端はゲーム実況だけでなく、ストリーマーと呼ばれる配信者がトークショーやQ&Aセッション、ゲーム以外の一般のファンとの交流など、ゲーム以外のコンテンツをストリーミングできるようにしたこともあるようだ。ストリーマーがプレーの合間に視聴者と会話するチャット機能が特に人気で、オランダの調査会社Newzooによれば、全視聴時間の中でLeague of Legendsのゲーム実況が15億時間なのに対し、チャットのみの時間は19億時間に達したということだ。このような傾向は今後も続きそうだ。