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 現地時間2021年2月7日に開催されたプロアメリカンフットボールNFLの優勝決定戦「第55回スーパーボウル」。タンパベイ・バッカニアーズがカンザスシティ・チーフスを31対9で破り、18年ぶり2回目の優勝を果たした。

 地上波のCBSが放送したテレビ中継は、平均で9200万人が視聴した。これは2006年以降で最も少ない数字となっている。その一方、NFLやCBSの公式サイトなど複数の配信チャンネルで実施されたライブストリーミングの1分当たりの平均視聴者数は570万人に達し、昨年より65%増となった。総視聴時間は初めて、10億分を突破したということだ。

 今回試合会場となったフロリダ州タンパのレイモンドジェームス・スタジアムは本来7万人近くを収容できるが、コロナ禍によって、招待を受けたワクチン接種済みの医療従事者7500人を含む約2万5000人に制限しての実施となった。このため例年のスーパーボウルであれば、満員の観客がWi-Fiや携帯電話で膨大なデータ量を使ったことがニュースになるが、この人数ではさすがにそうはならなかった。

 ただ、米国最大のスポーツイベントであるスーパーボウルを自社テクノロジーのアピールに活用した動きもあった。公式携帯電話スポンサーである米ベライゾンは、自社の5Gサービスを様々な形でPRした。

 同社はまず、8000万ドルを投じてスタジアムとその周辺地域の5G網を整備したと発表。総延長70マイルにおよぶ高速光ファイバーケーブルを埋設した他、DASと呼ばれる分散アンテナシステムをアップグレードし、ダウンタウンなどにスモールセルと呼ばれる小型基地局を281基設置したという。

 スーパーボウル向け5Gサービスも実施した。NFLモバイルアプリ「Verizon 5G SuperStadium」では、試合のライブストリーミングを5つのカメラアングルから好きに選んで視聴することができた。選手の姿やデータを映像に重ねて表示できるAR(拡張現実)機能まで装備されていた。こちらはiPhone 12専用アプリだった。

ベライゾンがiPhone 12向けに提供したNFLモバイルアプリ「Verizon 5G SuperStadium」。5つのカメラアングルから好きに選んで視聴できる
ベライゾンがiPhone 12向けに提供したNFLモバイルアプリ「Verizon 5G SuperStadium」。5つのカメラアングルから好きに選んで視聴できる
(図:YouTubeに投稿されたベライゾンの紹介動画をキャプチャー)
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 さらにミリ波帯を含む5G環境が整ったスタジアムではiPhone以外にも韓国サムスン電子の「Galaxy S20」と「同S21」も使用でき、カメラアングルも7つに増やせたということだ。

 またYahoo Sportsモバイルアプリに搭載された「Watch Together」では、ストリーミングを見ながら家族や友人とチャットができるサービスも提供された。どちらもVerizon Mediaのストリーミングテクノロジーを使ったものだという。

 さらに同社は、若者に対して5Gをアピールするために人気ゲーム「Fortnite」と提携、オンラインゲームイベント「Fortnite Creative: a virtual Verizon 5G Stadium」を開催した。これはFortniteのバーチャル空間に3次元CGでスタジアムを作成、ゲーマーがNFL選手やプロゲーマーとフットボールを基本とする4つのゲームを通じて交流できる企画だった。2月2日と同5日の夜の2回開催された同イベントでは、カイラー・マレーやセイクワン・バークレーといったNFLスター選手がバーチャル空間でゲームを行う様子がTwitchとツイッターで実況配信された。

オンラインゲームイベント「Fortnite Creative: a virtual Verizon 5G Stadium」でバーチャル空間に作成されたスタジアム
オンラインゲームイベント「Fortnite Creative: a virtual Verizon 5G Stadium」でバーチャル空間に作成されたスタジアム
(図:ベライゾン)
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 さらに同社はCBSの試合中継で、俳優のサミュエル・L・ジャクソンがFortniteのキャラクターとなってゲームにおける5Gの利点について力説するCMを放送している。まずはeスポーツの若いゲーマー層を取り込む狙いだろう。