現在、米国で画期的なプロアメリカンフットボールリーグ、「Fan Controlled Football」(ファン・コントロールド・フットボール、FCF)の最初のシーズンが開催されている。FCFは4つのチームがジョージア州アトランタ近郊、ダルースにあるアリーナ「インフィニットエナジーセンター」で6週間にわたりレギュラーシーズンを争い、その後プレーオフで優勝チームを決めるというもの。屋内の10ヤード(1ヤードは0.9144m)のエンドゾーンを備えた35x50ヤードのフィールドで7人対7人により対戦する。18~35歳の若年層をターゲットに、プロリーグとしてはこれまでにない斬新な要素が多数盛り込まれている。
最大の特徴が、リーグ名にもなっているように「ファンがコントロールする」点だ。アメリカンフットボールでは、各プレーごとにいくつも用意した戦術の中から、その都度1つを実行する。攻撃なら、パスかラン、それもどんな動きかを選び、実行して前進、さらには得点しようとする。FCFではこのプレー選択をファンが行うのだ。
専用アプリや試合中継を行うeスポーツ系配信サービス「Twitch」に4つのプレー図が表示され、ファンはそれに投票、最も投票数が多かったプレーが実行されるのである。
スポーツファンなら試合を見ていて、「ここで自分だったらこういうプレーを選択するのに」と思ったことが、1度ならずあるに違いない。実際、過去には野球のマイナーリーグなどでファンがプレーを指示する企画などが散発的に実施されたことはあった。ただし、それを恒常的にリーグとして採用したのがFCFである。元NFL選手で俳優などの経験もあるレイ・オースチンFCFコミッショナーは2015年からこのアイデアを温め、実験的な試合を開催しながら、リーグとしての形を整え、この2月の開幕にこぎ着けた。