2021年4月13日(米国時間)、プロアメリカンフットボールNFLはネットワーク機器大手のシスコシステムズと複数年にわたるリーグスポンサー契約を結んだと発表した。これによってシスコはNFLの「公式テクノロジーパートナー」となった。拠点の分散化が進む大企業向けの企業ITネットワークを構築する能力を、NFLを使ってアピールしていく狙いだ。
シスコは以前からNFLの全30スタジアムでビデオ判定に使われる「インスタントリプレー」のコントロールルームにハードウエアを提供し、さらにそれらの部屋とニューヨークにあるNFL本部のリプレー・レビュー・オフィスをネットワークで接続した実績を持つ。今回の契約ではさらに全スタジアムのITシステムをリーグオフィスと完全に接続し、会場の大型スクリーンやデジタルサイネージ、成績、セキュリティーなど試合運営に必要な情報を共有・サポートできるようにしていくという。そのためにNFLとシスコは「コネクテッド・リーグ」と呼ぶプラットフォームを開発するという。契約料、開発費などは公開されていない。
また同社はNFLの社会正義活動「Inspire Change」に参加し、十分な社会的なサービスを受けていないコミュニティーに対して、技術教育とキャリアの機会を提供するとしている。
NFLのミシェル・マッケンナ最高情報責任者は、「シスコは企業のインフラのように全てが集中管理されている企業空間に対してサービスを提供し、成長を遂げてきました。しかし、企業の拠点がより分散化していった場合にはどうなるでしょうか。拠点が分散した企業では、セキュリティーやスピードをさらに向上させることができます。これには私も興味がありますし、NFLも同様に興味を持っています」とコメントしている。
対してシスコのエンタープライズネットワーキング&クラウド担当部門トッド・ナイテンゲール上級副社長は、パンデミックが発生する以前から、本社とオフサイトの接続は、利便性から必要性へと変化し始めていたと指摘した上で、今回の契約の意義について「ミッションクリティカルなネットワークが、NFLの枠を超えて、あるいはスポーツやエンターテインメント業界の枠を超えて、どのように機能するのかを考察する助けになります。世界中の企業が、何百、何千ものオフィスを中核となるデータセンターやクラウドに接続する、真のミッションクリティカル・ネットワークを必要としています」と強調している。