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 インターネット上に構築された仮想3次元空間「メタバース」。フェイスブック運営企業が社名をメタバースにちなんで「メタ・プラットフォームズ」に変更したこともあり、世界的に注目度が高まっている。米スポーツ界でも参入の動きが続いている。

 プロアメリカンフットボールNFLは2021年11月23日、グローバルオンラインゲームプラットフォームを提供する米Roblox(ロブロックス)と提携し、仮想ストアを立ち上げた。Robloxではユーザーがゲームをプログラムしたり、他のユーザーが作成したゲームをプレーしたりできる。「Robux」と呼ばれる仮想通貨が導入されており、ゲーム内でアバターやカスタムエリアを装飾するアイテムの支払いに使用される。

 ゲーム内のNFLショップではアバターに着せることができるヘルメットとユニホームが販売されている。この仮想ストアはブランドと個人のためのデジタル体験をプラットフォーム内で作成することを専門とする開発スタジオ、米Melon(メロン)によって開発されている。Melonは歌手のザラ・ラーソン氏のバーチャルコンサート、グッズ、イベントなどを手がけた実績を持つ。

NFLの仮想ストアについてのMelonのツイッターへの投稿
NFLの仮想ストアについてのMelonのツイッターへの投稿
(図:NFL、Melon、Twitter)
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 Robloxの1日あたりのユーザー数は約4700万人で、その半分は13歳未満となっている。若いファン層の掘り起こしが課題となっているNFLにとっては、Robloxはタッチポイントとしてうってつけの存在なのである。

 NFLがこのような動きをするのは今回が初めてではない。仮想空間で音楽ライブなどを開催しているメタバースの先駆け的存在、米Epic Games(エピックゲームズ)の人気バトルロワイヤルゲーム「フォートナイト」と18年に提携。アバター用のユニホームなどを販売した他、21年2月には優勝決定戦スーパーボウルに合わせ、期間限定の仮想スタジアムを作成し、ゲームやイベントを開催するなどしている。