当初は「優秀な秘書」だったのが、家族同然の存在になっていく…。
2019年5月7日~9日(米国時間)に開催された米グーグルの開発者会議「Google I/O 2019」で、AI(人工知能)をフル活用した同社の中核サービスの1つ「Googleアシスタント」の進化シナリオが見えてきた。
グーグルが2016年に発表したGoogleアシスタントは、3年後の2019年現在で80カ国30言語に対応、世界10億台超の機器に組み込まれるに至った。当初からマルチプラットフォームを前提に開発した結果、現在はAndroid OSのほか、iOS、Google Homeなどのスマートスピーカー、テレビ、ヘッドホン、Chromebookなどに対応する。特にモバイル、自動車、家庭内の3分野への導入に注力している。
大事な人、場所、時間を理解する存在に
Googleアシスタントはこれまで音楽再生やニュース読み上げのほか、GmailやGoogleカレンダーと連動し、主にスケジュール管理を中心に機能を拡充させてきた。つまり秘書としての優秀さに磨きをかけてきた。
数カ月中に米国で配布を始める次世代のGoogleアシスタントは、この位置づけが変わる。家族同然のパートナーとしての役割が付加される見込みだ。
「ユーザーの人生にとって大事な人、場所、時間を理解するようになる」と、プレス向け説明会に登壇したグーグル Director, Product Management and Head of Emerging Markets and Automotiveのオースティン・チャン(Austin Chang)氏は開発のコンセプトを語る。
Google I/Oの基調講演で紹介されたGoogleアシスタントの新機能の1つに、「母さん」「妹」などの言葉を交えて指示が出せるようになったことがある。
例えば「ヘイ、グーグル。母さんの家周辺の週末の天気は?」といった問いに対して、Googleアシスタントはユーザーの母親の住所を踏まえて天気予報を返答できる。
この機能は、ただ利便性を高めるだけではない。「Googleアシスタントとの会話がとても自然(Natural)になる」と、チャン氏は狙いを語る。家族同然のパートナーとの会話で、いちいち母親の名前や住所を指定して天気を聞いたりしない、というわけだ。
「母親の住所」のようなパーソナル情報を理解するため、次期Googleアシスタントは設定に「You」のタブを新設する。家族や親友の情報、重要な場所とよく使う移動手段、好きなメディア、好きな食べ物や飲み物などを保存する。記録済みの情報をユーザーが修正するもこと可能で、「欧州の一般データ保護規則(GDPR)にも準拠する」(チャン氏)。