
知財が見せる5年先のミライ
目次
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太陽光・バイオマス発電推進の課題 海外依存を減らせるか
第24回 日本経済を支える技術開発が急務
「2050年カーボンニュートラル宣言」を2020年10月に菅義偉首相が表明した。国内の温暖化ガスの排出を2050年までに「実質ゼロ」とし、脱炭素社会の実現を目指す。世界的な異常気象の原因と見なされる温暖化ガスの排出を2050年までに全体としてゼロにする世界主要国の動きに歩調を合わせた。
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特許出願トップ、キヤノンの憂鬱
第23回 高収益部門の成長鈍化と研究開発
特許を数多く持つ企業は、事業拡大についてより大きなポテンシャルを持ち、増収を実現させて企業価値を向上できるはずと思われている。だが、現実は必ずしもそうではない。
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ソニーとパナの明暗分けたコト経営、モノ依存増すAlphabet
第22回 モノからコトへのシフトの先にあるもの
時価総額に5倍の格差──。日本の代表的な企業として世界でも知名度の高いソニーとパナソニック。市場の評価である時価総額を見ると、直近でソニーがパナソニックに圧倒的な差をつけている。
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技術や知財の無形資産担保、定着の鍵を握るのは何か
第21回 取引事例の集積・公開と管理者の育成
2020年10月に入り、無形資産担保の制度創設について報道された。従来、日本の金融機関における担保は有形固定資産が原則である。そのため、スタートアップ企業など有形固定資産を持たない企業に対する融資が厳しく、金融機関が融資を行うことが難しかった。しかし今回、特に中小企業を念頭に、企業が持つ無形資産を…
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激化する米中対立、修正プロパテントの枠組み創設が急務
第20回 1980年代の米国プロパテント政策と米中特許紛争の行方
現在の米中対立に関して、よく1980年代の日米貿易摩擦が引き合いに出される。特に特許に対しては、1980年代は米国がプロパテント政策に大きく舵(かじ)を切った時期に当たり、当時のターゲットであった日本はさまざまな対応を余儀なくされた。
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韓国や香港、中国より下位の日本の技術革新力 一体何が原因か
第19回 グローバル・イノベーション・インデックス2020から読み解く特許の将来
2020年9月2日、「グローバル・イノベーション・インデックス(GII;Global Innovation Index、以下GII)」の2020年版が発表された。各国のイノベーションに関する能力の指標だ。日本は順位を前年から1つ落とし、16位となった。
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特許侵害の賠償額が増加、フリーライダーの脅威に
第18回 損害の算定基準が変更
米中などに比べ、日本は圧倒的に特許訴訟の件数が少ない。これには、特許侵害訴訟を行っても勝率が43%それほど高くないことに加え、勝訴しても実際に得られる賠償金が少ないため(83%が1億円以下)に訴訟を断念するケースが多いことが原因として考えられる。
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トヨタが1位、4位はNTT 、2位・3位は? 人財価値ランク
第17回 利益を高めるなら給料を増やすべし
人件費はコストではない。むしろ人材(以下、人財)に対する投資であり、企業は人件費を投下することにより着実に利益を稼いでいる──。人財価値を分析した結果、給料水準が高いほど、従業員が稼ぐ利益は大きいことが分かった。
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キーエンスが首位、2位・3位は? 知財価値ランキング
第16回 全体および主要業種別ランキングの作成
今回、我々は東証1部上場企業について、市場の評価から知財価値を推定し、ランキングを作成した(表1)。その結果、1位はキーエンスとなり、以下は武田薬品工業と中外製薬となった。上位に入った企業の中にはかなり大きな額の知財価値を持っている企業があることが判明した。また、急成長を遂げる新興企業の中にも、大…
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東大発ベンチャーが挑む、日本初の電力P2Pプラットフォームで再エネ推進
第15回 デジタルグリッドの挑戦
世界全体で地球温暖化対策に取り組むことに合意したCOP(国連気候変動枠組み条約締約国会議)の動きを受け、世界の持続可能な開発目標(SDGs)のための取り組みとして、主要国は二酸化炭素(CO2)削減と再生可能エネルギーへの転換を強化している。
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新型コロナ特効薬の開発は進むか ウイルス薬とワクチンの特許分析
第14回 劇的に改善するウイルス性疾患の薬の開発環境
新型コロナウイルスの脅威は沈静化の兆しを見せず、先の見えない状況が続いている。感染者は既に全世界で231万人を超え、15万8000人を超える死者が出ている(4月19日現在、ジョンズ・ホプキンス大)。治療のために富士フイルムホールディングスの子会社である富士フイルム富山化学(東京・中央)が生産する「…
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もうかるとは限らない5Gの標準必須特許、ただし日本は件数不足
第13回 SEP件数と売上高伸び率の関係を分析
特許にさほど詳しくない人間には“金科玉条”のような響きを持つ「標準必須特許(SEP)」という特許がある。
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パナソニックが首位、認知症対応ウエアラブル端末の特許
第12回 バイタルデータ分析の商機
我が国の国民医療費は増加の一途をたどり、2017年度では43.1兆円に達した。その多くは税金で支払われる社会保障費であり、その金額である34兆円は一般歳出の中では最大。実に6割を占め、年々増加している。
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ニューフレアの買収失敗、東芝に敗れたHOYAの次の一手
第11回 パターン転写・半導体製造装置メーカーとの提携・買収
精密機械大手のHOYAは、ヘルスケア・メディカル部門において強固な事業基盤を確立しているが、「情報通信」部門も事業の柱と位置付けている。情報通信分野、特に半導体事業において、HOYAは複雑な回路パターンを半導体ウエハーに転写する際に原版として使う半導体マスクブランクスで世界トップ。
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見えてきたビジネス関連特許の傾向と対策、マネースクエア全面勝訴の判決
第10回 知財トレンドの転換点
知財の世界で画期的な判決が2019年10月31日に確定した。FX(外国為替証拠金取引)や株価指数CFD(差金決済)取引を個人向けに提供するマネースクエア(東京)の親会社であるマネースクエアHD(東京)が、外為オンライン(東京)が提供していたサービスの停止を求める特許権侵害訴訟を提起していた。201…
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水素内燃機関に再注目、技術でトヨタや日産、ホンダが先行も欧州勢が急追
第9回 ゼロエミッションの“救世主”の可能性
2019年11月4日、米国のドナルド・トランプ大統領が地球温暖化防止の世界的取り組みであるパリ協定(第21回気候変動枠組条約締約国会議;COP21)からの離脱を正式に国際連合に通告し、温暖化防止に対する取り組みの足並みが乱れている。
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顔認証は日本の技術が冴える、装置産業型で大企業の復権
第8回 NECとNTT、日立がトップ3
本人確認のための顔認証。無人レジや入国審査における顔認証ゲート、銀行のATMなどさまざまな場面で活用が始まっている。顔認証の実用化は中国と米国が先行しており、精度に慎重な日本では実用化が遅れている。だが、実は顔認証の本格的な実用化は2010年ごろから日本で始まった。その時期からの技術の蓄積で、日本…
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売り上げが伸びない中での特許出願、鍵は自社開発力とライセンスアウト
第7回 製薬会社の特許戦略
新薬開発が生死を決める製薬業界。新薬開発は特許が前提で、将来の成長のためにはコンスタントな特許出願が必要となる。日本の大手製薬会社も過去10年で年平均10%ずつ特許の出願・取得を増やしている。
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期待か幻滅か、ブロックチェーンの今後
第6回 開発状況を知財で分析
仮想通貨の基幹技術であるブロックチェーン技術が今、大きな注目を集めている。ブロックチェーンは、端末間(P2P;Peer to Peer)の取引情報をネットワーク上に分散させて記録・管理する技術である。真正性の保証された取引(二重支払いの防止)ができることや、トレーサビリティー・透明性の高い取引(改…
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世界の特許で探るフィンテックの可能性、新興企業に勝機が残る
第5回 少ない日本の出願、目覚ましい中国の台頭
フィンテック(FinTech)とは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語だが、日本ではまだ金融機関主体の開発が続いており、特許出願件数も少ない。一方、海外に目を転じると海外勢の特許出願はハイスピードで増加しており、アジア勢、特に中国企業の台頭が目覚ましい。ただ各国…