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 2017年5月25日、小型衛星を打ち上げる小型ロケットが誕生した。場所はニュージーランド北島の東海岸、ハークス湾の東端にあるマヒア半島突端。ここから小型ロケット「エレクトロン」の初号機が打ち上げられた。打ち上げは失敗に終わったが、ここから小型ロケットベンチャーであるロケットラボの活動が本格的にスタートする。

マヒア半島先端に位置する射点「ロケットラボLC1」の全景(写真:ロケットラボ)
マヒア半島先端に位置する射点「ロケットラボLC1」の全景(写真:ロケットラボ)
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 米国に本拠を置くロケットラボはその後、2018年1月21日にエレクトロン2号機「まだまだテスト中(Still Testing)号」の打ち上げに成功。同年11月11日、初の商業打ち上げとなる3号機「さあ商売の時間だ(It's Business Time)号」を打ち上げた。その後、6号機までの打ち上げに成功(2019年5月時点)している同社は2019年中に、あと14機もの打ち上げを実施する計画を打ち出している。

 現在、全世界で100社近くの宇宙ベンチャーが、小型ロケットの開発を開始していると言われる。ロケットラボはその中で頭一つ抜けており、国際的な小型ロケット打ち上げという市場を切り開き、そのリーダーとしての地位に立った。

電動ポンプを採用、3Dプリンターで部品を製造する

 ロケットラボはニュージーランド人技術者のピーター・ベックが、2006年に米カリフォルニアで立ち上げたベンチャー企業だ。ニュージーランドに支社を持ち、双方を連動させて打ち上げビジネスを展開している。

 設立当初は、固体の燃料と液体の酸化剤を使うハイブリッドロケットエンジンを使う弾道飛行ロケットを開発していた。最初のロケット「アテア1」は2009年11月に打ち上げ、高度150kmの宇宙空間まで到達させた。2010年には米国防総省で、有事向け緊急打ち上げシステムを管轄しているOperationally Responsive Space Officeからの契約で、低コスト小型衛星打ち上げシステムを研究している。恐らく、この研究がエレクトロンの源だろう。

 その後、より大型の弾道飛行ロケット「アテア2」の開発を予定していたが、2012年頃から方向転換。積極的に投資を募り始め、2013年1月に新しい液体酸素とケロシンを推進剤とする液体ロケットエンジン「ラザフォード」を開発していると公表。翌2014年7月にラザフォードを用いた小型衛星打ち上げ専用のロケットの開発を表明した。これが「エレクトロン」だ。

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