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 2012年に米Space X(スペースX)が、「ファルコン9」ロケットの第1段回収実験を開始した時、ロケットの商業打ち上げ市場で全世界の約半分のシェアを持つ欧州は半信半疑の態度を示した。つまり、「できるかどうか分からない」という態度だったのである。日本でも、スペースXの試みに対しては懐疑的な見方が強かった。

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2003年に飛行実験を行ったRVT(写真:松浦晋也)
2003年に飛行実験を行ったRVT(写真:松浦晋也)
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 しかし、実際に同社が次々にロケットの第1段回収に成功し、再利用のフライトを始めると、さすがに座視しているわけにはいかなくなった。

 現在、日欧は協力してロケットの第1段回収に向けた実験機「カリスト」の開発を進めている。欧州はその先に、現在開発中の新ロケット「アリアン6」での第1段回収・再利用構想を持っており、そのためのエンジン「プロメテウス」の研究も進めている。日本は、何度も弾道飛行をできる再回収型実験ロケットに向けた実験機「RV-X」も開発している。RV-Xが再利用ロケット実現に向けた実験の第1段階。日欧協力のカリストが第2段階という位置付けだ。

液酸液水推進剤の実験機、RV-Xとカリスト

 日本にとってロケットの第1段回収への取り組みの第一段階となるRV-Xは、四半世紀近い研究の蓄積の裏付けがある。日本では、1990年代半ばに文部省・宇宙科学研究所(現JAXA・宇宙科学研究所)が垂直離着陸ロケットの研究を始めた。1998年からは実験機「RVT」を使った飛行試験を始める。RVTは液体酸素・液体水素を利用していた当初、ほんの数mだけ上昇し、横に数m移動して着陸するという程度だった。その後、部品の再利用による大幅な設計変更を繰り返して機体性能を向上ささせた。2003年10月から11月にかけては9番目の試験シリーズ「RVT-9」で、3回の飛行試験を実施。RVT-9は高度42mまで上昇し、安全に着陸することに成功した。

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