自分たちの技術で社会をどれだけ変えられるのか―― 。挑戦の場に新進気鋭のベンチャー企業を選ぶ学生が増えている。
中古不動産流通サービスを手掛けるGA technologiesは2019年4月、全社員数約300人の1割を超える40人ほどの新卒を採用した。その約5割をエンジニア職が占める。AI(人工知能)やデータサイエンスに特化した人材も毎年一定数確保しているという。
ベンチャー企業への就職を狙う優秀な学生との接点として同社が重視するのが、2017年から実施するAI特化型の短期ハッカソン「AI BOOSTER」だ。10~20人の学生を集めて少人数のチームに分け、物件価格の予測といった実務に沿った課題を解かせる。
「当初は研究室のつながりなどを頼りに学生を集めていたが、今では口コミで広がり募集枠を超える応募が来ている」。同社のAI・データサイエンスの専門組織「AI Strategy Center」で室長を務める小林賢一郎氏は話す。
就活生にとってのAI BOOSTERの魅力は「社会課題の解決に学生時代の研究がどう役立つのか体験できる」(小林室長)点だ。特定の分析手法に詳しい学生はいても、それを社会でどう生かせるのかをイメージできている学生は多くないという。
同社の清家良太CHRO(人事総務本部長)は学生に「不動産はいまだアナログでブルーオーシャンの分野だ」と話す。未開拓の分野に挑む若者が集い始めている。