就活ルールの変更、人生100年時代を見据えたキャリア構築、ネット企業の台頭で変わる業界構造――。学生の就活を取り巻く環境は変わり続けている。その中で、大手ITメーカーの就職人気はどうか。日経コンピュータと楽天の口コミ就職情報サイト「楽天みん就」が実施したIT業界就職人気ランキングを基に見てみよう。
富士通はIT業界の総合ランキングで3位と2018年調査の2位から1つ順位を下げたものの、ITメーカー分野では引き続き1位を守った。NECは13位で2018年の10位から3つ順位を下げ、トップ10から外れた。ITメーカー分野では3位だった。NECを押し出す形で2017年、2018年と11位で推移していた日立製作所は総合ランキングで10位に浮上した。
「いまだ多くの学生は安定志向、そして安定なら大企業というイメージは根強い」。2019年4月にあるベンチャー企業に入社した学生は自身の就活を振り返ってこう話す。国内トップクラスの大学を卒業した彼は入社直後から第一線で挑戦できる場としてベンチャーを選んだが、彼のようなタイプは珍しかったという。
ただ、学生が大手を目指すのは安定だけが理由ではない。調査ではその企業を志望する理由を「会社の魅力」や「仕事の魅力」といった視点から選んでもらった。富士通、日立、NECを選んだ学生で「安定していそう」を志望理由として挙げた学生は2~3割にとどまった。一方で、3社を「社会に役立つ仕事ができそう」という理由で選んだ学生は5~6割と多かった。
これらの企業は知名度が高く、学生の時からその企業の名前を目にしたり耳にしたりする機会も多い。そのため認知度や人気が高まりやすい可能性が考えられる。ただし富士通とNECはそれぞれ事業売却や人員削減などを発表しており、「安定」のイメージがいつまで続くかは疑問だ。
そのほかのメーカーについてはそれほど大きな変動はなかった。総合ランキングで2018年に13位だった日本IBMは順位を1つ下げて14位に、23位だった日本ユニシスは1つ上げて22位だった。リコーは49位と2018年と同じ順位を維持した。富士ゼロックスは40位と2018年の26位から大きく順位を下げた。