MVNO大手のインターネットイニシアティブ(IIJ)は2021年2月24日、同社が提供する通信サービスの新料金プラン「ギガプラン」を発表した。音声付きのプランであれば高速データ通信量2GBで月額780円、20GBで1880円(いずれも税別)。携帯電話大手の料金引き下げに対抗するため思い切った料金引き下げを実施した同社だが、その内容を見るとMVNOの淘汰が待ったなしの状況である様子も見えてくる。
20GBプランは競合MVNOより安価な月額1880円
菅義偉政権による料金引き下げ圧力を受ける形で、携帯大手の料金値下げ競争が急速に進んだ。NTTドコモの「ahamo」に代表される、税別で月額2000円台ながら20GBの高速データ通信を利用できるオンライン専用料金プランの登場で、低価格を武器に成長してきたMVNOは窮地に追い込まれたが、それでも幾つかのMVNOは対抗策を打ち出している。
新たに対抗策を打ち出した1社がIIJだ。同社はMVNOとして展開している個人向け通信サービス「IIJmio」で100万超の契約数を獲得し、国内MVNOとして初めて、自社でSIMを発行できる「フルMVNO」になるなどMVNOの大手として知られている。だが、ここ最近は携帯大手のサブブランドなどによる攻勢にあい、IIJmioの契約数が純減に転じるなど苦戦が続いている。
しかも2021年3月以降は携帯大手のオンライン専用プランが本格的に始まることから、IIJmioが一層苦境に立たされるとみられていた。そこでIIJは2021年2月24日、IIJmioの競争力を強化するべく、2021年4月1日に提供を開始する予定の新料金プラン「ギガプラン」を打ち出している。
ギガプランの内容について簡単に説明すると、高速データ通信量が2GBから20GBまでの5つの料金が用意されている。そしてデータ通信に従量制の音声通話が付いたプランであれば、2GBで月額780円(税別、以下同様)、4GBで月額980円、そして20GBでは月額1880円という、かなり安価な料金が設定されている。
他社の20GBプランと比べてみると、KDDIの「povo」やソフトバンクの「LINEMO」といった音声通話が従量制のオンライン専用プランはいずれも月額2480円で、ギガプランはそれよりも600円安い。同じMVNOであるオプテージの「mineo」の新料金プラン「マイピタ」(デュアルタイプ)の20GBプラン(月額1980円)と比べても100円安い。
また低容量のプランでも、ジュピターテレコムがMVNOとして展開する「J:COM MOBILE」の新料金プラン「J:COM MOBILE Aプラン ST(音声+データ)」の1GBプランが月額980円であることを考えると、ギガプランは同じ値段で通信量が3GB多い。かなり安価で意欲的な価格設定がなされていることが分かる。