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 韓国LG Electronics(LGエレクトロニクス)は2021年4月5日、モバイル事業部を閉鎖し、携帯電話事業から撤退すると発表した。激しい価格競争で赤字が長年続いていたことがその背景にある。かつてスマートフォン市場でトップ3のシェアを獲得していた大手メーカーが、なぜ撤退に追い込まれるに至ったのか。また国内市場でその影響がどのような形で現れるのかを考えてみたい。

長年の赤字に耐え切れず撤退を表明

 2021年1月に開催された「CES 2021」で大いに注目を集めたプロダクトの1つが、ディスプレーを巻き取って伸縮できる「ローラブル」という構造を採用したスマートフォンだった。そしてそのローラブルスマートフォン「LG Rollable」をいち早く発表したのがLGエレクトロニクスである。

2021年1月11日、「CES 2021」の開催に合わせてLGエレクトロニクスが実施した発表会より。冒頭と最後に巻き取り式ディスプレーを搭載した「LG Rollable」を“チラ見せ”して注目を集めていた。画像は同発表会のスクリーンショット
2021年1月11日、「CES 2021」の開催に合わせてLGエレクトロニクスが実施した発表会より。冒頭と最後に巻き取り式ディスプレーを搭載した「LG Rollable」を“チラ見せ”して注目を集めていた。画像は同発表会のスクリーンショット
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 だがLG Rollableへの注目とは裏腹に、2021年に入ってからLGエレクトロニクスを巡って不穏な臆測が報じられていた。同社が携帯電話事業から撤退するのではないか、というものである。

 そして4月5日、その臆測が現実のものとなる。LGエレクトロニクスは同日にモバイル事業部の閉鎖を決定、携帯電話事業から撤退すると発表したのだ。発表内容によると、競争が激しい携帯電話事業から撤退する一方で、電気自動車やスマートホーム、ロボットやAI(人工知能)などに注力するとしている。

 かつてスマートフォンの世界出荷台数シェアでトップ3の座にあったLGエレクトロニクスの撤退は、携帯電話業界に大きな衝撃をもたらしたことは確かだろう。だが同社の携帯電話事業は2015年から赤字が続いており、非常に厳しい状況にあったのもまた確かである。

 それだけに以前から、事業売却や事業縮小など、何らかのリストラが実施されるとの見方は少なからずあったのだが、完全に撤退するという判断をしたのには少なからず驚きがあった。そこでなぜ同社がスマートフォン事業で苦境に陥り、撤退に至ったのかを改めて振り返るとともに、今後の国内のスマートフォン市場競争にどのような影響を与えるかを考えてみたい。