全3011文字
PR

 楽天モバイルは2021年4月22日、「iPhone 12」シリーズなど米Apple(アップル)製品の販売を開始すると発表した。同社は携帯電話事業者の中で唯一iPhoneを扱っておらず、ネットワークの正式対応も実施されていなかっただけに、この発表は同社にとって競争力向上につながることは間違いない。ただ、携帯大手3社に対抗するには課題も多い。

契約数拡大とアップルの販売拡大策が一致か

 2021年に入って以降、月当たりデータ通信量が1GB以下の場合に月額料金が0円になる新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」を発表するなど、大きな動きを見せている楽天モバイル。その楽天モバイルが2021年4月22日、新たに打ち出した大きな施策がiPhoneなどアップル製品の販売を開始することである。

 同社が扱うのは「iPhone 12」シリーズの4機種と第2世代の「iPhone SE」、ワイヤレスイヤホンの「AirPods Pro」や忘れ物防止タグの「AirTag」などで、いずれも2021年4月30日に販売を開始するとのこと。AirTagや「iPhone 12」「iPhone 12 mini」の新色となるパープルのモデルなどは、アップルが2021年4月20日(米国時間)に発表したばかりだが、それらもすぐ扱うとしたことにはやや驚きもあった。

楽天モバイルは2021年4月22日に急きょプレスカンファレンスを実施。「iPhone 12」シリーズなどアップル製品を販売すると発表した。写真は同カンファレンスより(筆者撮影)
楽天モバイルは2021年4月22日に急きょプレスカンファレンスを実施。「iPhone 12」シリーズなどアップル製品を販売すると発表した。写真は同カンファレンスより(筆者撮影)
[画像のクリックで拡大表示]

 これまで楽天モバイルは、携帯電話4社の中で唯一iPhoneを扱っていなかった。楽天も自社オリジナルのスマートフォンなど様々なAndroidスマートフォンの調達を進めてきたが、やはりiPhoneシリーズは日本で最も利用者が多いだけに、iPhoneを扱っていないことが同社にとって不利な要素の1つとなっていたことは確かだろう。

 なぜこのタイミングで楽天モバイルがアップル製品を販売できるようになったのか。理由の1つは楽天モバイルの契約数が増えてきたことだろう。楽天モバイルの累計申込数は2021年4月8日時点で390万件を超えている他、MVNOとして展開しているサービスも含めた契約数は450万件を超えるに至っている。

 契約数の急速な伸びには、1年間無料でサービスが利用できるキャンペーンの影響が少なからずある。とはいえ2020年の本格サービス開始前と比べれば短期間のうちに多数の契約数を獲得し、一定の規模に達していることは確かだろう。

楽天モバイルは無料キャンペーンや新料金プランの影響で申込数が急速に伸びており、2021年4月8日時点で390万を突破しているという。写真は2021年4月22日の楽天モバイルプレスカンファレンスより(筆者撮影)
楽天モバイルは無料キャンペーンや新料金プランの影響で申込数が急速に伸びており、2021年4月8日時点で390万を突破しているという。写真は2021年4月22日の楽天モバイルプレスカンファレンスより(筆者撮影)
[画像のクリックで拡大表示]

 またアップル側も、携帯大手3社が政府から度重なる端末値引き規制を受け、従来iPhoneの販売を大きく伸ばしてきた各社メインブランドでの大幅値引き販売が期待できなくなった。そこで最近、アップルは大手のメインブランド以外の販路を積極的に拡大しつつある。

 実際2019年からは、SIMフリー版iPhoneをApple Store以外の一部家電量販店で販売している。また2021年2月にはソフトバンクのワイモバイルブランドが、発売から3〜4カ月のうちにiPhone 12とiPhone 12 miniを扱うなど、低価格ブランドに最新機種を提供する傾向も強まっている。それゆえ楽天モバイルも、大手3社ほどではないとはいえ一定の規模に達し販売拡大に寄与する可能性が高まってきたことから、アップルも製品を供給するに至ったといえそうだ。