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 スマートフォン市場の飽和や端末値引き規制、そしてNTTドコモの「ahamo」をはじめとしたオンライン専用プランの登場などにより、携帯電話大手の実店舗、いわゆるキャリアショップのビジネスに疲弊感がみられるようになった。今後も大幅な契約増が見込めない一方、地域のデジタル化の拠点としては重要な存在となりつつあるキャリアショップの在り方は今後どうなるのだろうか。

非回線契約者への端末販売を拒否するショップ

 「ドコモショップ」「auショップ」「ソフトバンクショップ」など、携帯電話大手は多数のキャリアショップを全国に展開している。それを各地域の販売拠点として活用することで、携帯電話の普及に大きく貢献してきたのは間違いない。

いわゆるキャリアショップは、携帯電話各社の販売拠点として大きな役割を果たしてきた。写真はNTTドコモの実証実験店舗「d garden五反田店」(2019年10月2日筆者撮影)
いわゆるキャリアショップは、携帯電話各社の販売拠点として大きな役割を果たしてきた。写真はNTTドコモの実証実験店舗「d garden五反田店」(2019年10月2日筆者撮影)
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 だが既に携帯電話は老若男女幅を問わず幅広い層に普及している上、少子高齢化によって人口増が見込めない現状、純粋な新規契約者の獲得が困難になっている。そこで各社はスマートフォンの大幅値引きによって他社から顧客を奪う戦略を取っていたが、競争があまりに過熱した結果、2019年の電気通信事業法改正で端末値引きに大幅な規制をかけられてしまった。

 その結果販売拡大が見込めなくなったキャリアショップは、契約を増やすことで携帯電話各社から契約数に応じた手数料を得るというビジネスの維持が厳しくなりつつあるようだ。その一端が見えてくるのが、総務省が2021年4月26日に開催した「競争ルールの検証に関するWG」の第17回会合での議論である。

 これは先の電気通信事業法改正による競争環境を検証する有識者会議なのだが、第17回会合で議論となったテーマの1つにキャリアショップでのスマートフォン販売があった。その理由は、電気通信事業法改正を受けて各社が提供している「端末購入プログラム」の正当性を検証するためだ。これはスマートフォンを分割で購入し、一定期間経過後に返却することで安価に利用できるというプログラムである。

 「スマホおかえしプログラム」(NTTドコモ)、「かえトクプログラム」(KDDI)、「トクするサポート+」(ソフトバンク)といった端末購入プログラムは、実は電気通信事業法で規制されている端末の値引き上限である2万円を超える利益を顧客に提供している。なぜならこれらは自社回線の契約者だけでなく、非契約者に対しても同じ条件でプログラムを提供しているため、電気通信事業法の規制に触れないためだ。

 そこで総務省は大手3社のキャリアショップで、非回線契約者も回線契約者と同じ条件で端末購入プログラムを適用し、スマートフォンを購入できるのかという覆面調査を実施。その結果、各社の販売代理店のうち、NTTドコモの22.2%、KDDIの29.9%、ソフトバンクの9.3%で販売拒否が確認されたとのこと。調査した店舗数や地域などが示されていない点に留意する必要はあるが、回線契約者と同じ条件で端末が販売されておらず、ある意味端末購入プログラムが違法状態にあるショップが一定数存在することは確かなようだ。

総務省「競争ルールの検証に関するWG」第17回会合資料より。総務省の覆面調査の結果、非回線契約者への端末販売を拒否した販売代理店が1割〜3割に上ったとのこと
総務省「競争ルールの検証に関するWG」第17回会合資料より。総務省の覆面調査の結果、非回線契約者への端末販売を拒否した販売代理店が1割〜3割に上ったとのこと
(出所:総務省)
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