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 シャープのスマートフォン新機種「AQUOS R6」が、高級コンパクトデジタルカメラと同等の1インチイメージセンサーを搭載したことが話題となっている。高画素化と多眼化、ソフトウエア処理を重視する傾向が強まっている最近のスマートフォンのカメラだが、光学処理を重視したAQUOS R6はそうしたスマートフォンカメラの進化の方向性に一石を投じることになるかもしれない。

1インチセンサーとライカと共同開発のレンズを搭載

 シャープは2021年5月21日にスマートフォン新製品発表会を実施。そこで発表されたのがAQUOS R6である。

 AQUOS R6は同社のフラッグシップモデル「AQUOS R」シリーズの新機種。単に前機種の「AQUOS R5G」の性能をアップさせただけでなく、フラッグシップでも液晶にこだわってきたシャープがIGZO技術を取り入れた有機ELを採用、さらにディスプレー内蔵の指紋センサーに3D超音波技術を搭載し、2本指の指紋認証にも対応するなど、大幅なリニューアルが図られたモデルとなっている。

 中でも最も注目を集めたポイントは、メインカメラのイメージセンサーに1インチのセンサーを採用して画質の向上を図っていること。1インチのイメージセンサーは主に高級コンパクトデジタルカメラが採用しており、スマートフォン向けとしてはサイズが大きく、これまで採用が難しいとされてきたものだ。

NTTドコモやソフトバンクから販売予定の「AQUOS R」。高級コンパクトデジタルカメラに並ぶ1インチのイメージセンサーを搭載するなど、カメラ周りに大幅なリニューアルが図られている。写真は2021年5月19日のNTTドコモ新サービス・新商品発表会の展示より(筆者撮影)
NTTドコモやソフトバンクから販売予定の「AQUOS R」。高級コンパクトデジタルカメラに並ぶ1インチのイメージセンサーを搭載するなど、カメラ周りに大幅なリニューアルが図られている。写真は2021年5月19日のNTTドコモ新サービス・新商品発表会の展示より(筆者撮影)
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 筆者が記憶する限り、かつてパナソニックが、スマートフォンに極めて近いAndroid搭載デジタルカメラ「LUMIX DMC-CM1」で1インチセンサーを採用していたことがある。だが純粋なスマートフォンでこのクラスのセンサーを採用した事例は耳にしたことがなく、そうした意味でも大きな驚きがあったといえるだろう。

 その1インチセンサーを薄くてコンパクトなスマートフォンに収めるのに貢献したのがドイツLeica Camera(ライカカメラ)との提携であるという。シャープはAQUOS R6の開発に当たってライカカメラと長期間のパートナーシップを結んでいるそうで、両社の共同開発によってスマートフォンの薄さでもゆがみが出ずにクリアな撮影ができるレンズを開発できたのだそうだ。

 ちなみにスマートフォンとライカカメラといえば、従来中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)と提携し、同社製スマートフォンのレンズなどを共同開発していたことが記憶に新しい。それだけに、ファーウェイ・テクノロジーズのスマートフォン事業が米中摩擦の影響で危機的状況に陥った中、ライカカメラとの提携を結んだシャープの動きにも驚かされる。