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 オープン市場向けスマートフォンのメーカーはこれまで、防水・FeliCaといった日本独自のニーズへの対応に消極的だった。ここ最近、対応端末が急増しており状況が急速に改善しつつあるようだが、このことは従来の市場の垣根を越えメーカー間の競争が新たな段階に突入しつつある様子も示している。

オープン市場で対応が進まなかった防水・FeliCa

 日本のスマートフォン市場は大きく分けて、携帯電話事業者4社から販売される端末の市場と、MVNOや家電量販店などから販売される端末(かつてのSIMフリー端末)のオープン市場が存在する。このうち前者はハイエンドからローエンドまでバリエーションに富んだモデルが用意されるが、後者ではラインアップがミドルクラス以下の低価格なものに偏りがちだった。

 その理由は、端末の値引きがないためだ。現在は政府の規制によって携帯電話事業者による端末の値引きに規制があるが、それでも一部例外を除けば回線契約と同時に端末を購入することで2万2000円までの値引きは可能であるし、4社が提供する端末購入プログラムを利用することで、一定期間利用後に端末を返却する必要はあるものの、その間は新しい端末を安く利用できる。

 一方、オープン市場にはそうした値引きや端末購入プログラムがあまりなく、消費者は店頭で示された金額を直接支払う必要がある。そうしたことからオープン市場では、世界的に高いシェアを持ちコスト面で優位性を持つ海外メーカーが多く参入しており、端末価格が3万円前後と非常に安く、それでいてコストパフォーマンス重視のモデルに偏る傾向にあったわけだ。

 だが海外メーカーがスケールメリットを生かし低価格を実現するには、海外で販売されている端末をほぼそのままの形で投入し、カスタマイズは最小限にして追加コストを抑える必要があった。そのことで日本のユーザーの間で不満が高まっていた。というのも、IP68の防水・防塵(ぼうじん)性能や、「おサイフケータイ」などを利用するためのFeliCaといった、日本でニーズの高い機能・性能に対応するスマートフォンがオープン市場であまり投入されてこなかったからだ。

 これらの機能は携帯電話事業者から購入したスマートフォンや、2016年に発売された米Apple(アップル)の「iPhone 7」シリーズ以降であれば対応しているものだ。それだけにメーカー側の方針はどうあれ、オープン市場において防水・FeliCaに対応していないことに消費者の不満が小さくなかったのも事実だ。

iPhoneも2016年の「iPhone 7」以降、防水・FeliCaに対応するなど急速に国内向け対応が進んだが、海外メーカーのオープン市場向けスマートフォンはなかなか対応が進まなかった。写真は2016年9月16日にNTTドコモが実施した「iPhone 7、iPhone 7 Plus 発売記念セレモニー」より(筆者撮影)
iPhoneも2016年の「iPhone 7」以降、防水・FeliCaに対応するなど急速に国内向け対応が進んだが、海外メーカーのオープン市場向けスマートフォンはなかなか対応が進まなかった。写真は2016年9月16日にNTTドコモが実施した「iPhone 7、iPhone 7 Plus 発売記念セレモニー」より(筆者撮影)
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