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 中国の広東欧珀移動通信(オッポ)や小米科技(シャオミ)が日本のスマートフォン市場での攻勢を強めている。圧倒的なコストパフォーマンスを強みとして、米国の制裁に苦しむ華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)に代わってSIMロックフリースマホを中心に急速に台頭した。しかし、さらなるシェア拡大に向けては課題も多い。

ラインアップの幅広さで攻めるオッポ

 オッポの日本法人であるオウガ・ジャパンは2021年5月25日、新製品発表会を開催した。オッポブランドのスマホ3機種を、SIMロックフリー市場に投入することを発表した。

 オッポは日本において、高い機能や性能を求める人向けにオッポのフラッグシップモデル「Find」、FeliCa(フェリカ)や防水などのカスタマイズを施し日本でニーズの高い機能を備えたミドルクラスの「Reno」、機能はシンプルながら低価格のエントリーモデル「A」という3つのシリーズを展開している。今回の新製品発表会では、その3シリーズ全てに新機種を投入した。

 Findシリーズの新機種は、海外で2021年3月に発表された最新の「OPPO Find X3 Pro」を投入。ディスプレーとカメラ共に10億色の表現ができるという色にこだわったモデルで、さらにデジタルズームで最大60倍のマクロ撮影ができる顕微鏡カメラを搭載しているのも特徴となっている。

オッポの日本市場向け新機種「Find X3 Pro」。10億色の表現ができるディスプレーと2つのカメラに加え、マクロカメラをさらに発展させ顕微鏡のような使い方ができるカメラも搭載しているのが特徴だ。写真は新製品発表会で撮影したもの
オッポの日本市場向け新機種「Find X3 Pro」。10億色の表現ができるディスプレーと2つのカメラに加え、マクロカメラをさらに発展させ顕微鏡のような使い方ができるカメラも搭載しているのが特徴だ。写真は新製品発表会で撮影したもの
撮影:佐野 正弘
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 Renoシリーズの新機種は「OPPO Reno5 A」で、SIMロックフリー市場向けで防水やFeliCaにも対応するミドルクラスの端末ながら、5Gにも対応しているというのが大きなポイント。5GとFeliCaの両方に対応した安価なSIMロックフリースマホは数が非常に少ないだけに、現時点ではある意味とても貴重な存在ともいえるだろう。

「OPPO Reno5 A」は5GとFeliCaに対応したミドルクラスのスマホであり、SIMロックフリー市場では数少ない貴重な存在だ。写真は新製品発表会で撮影したもの
「OPPO Reno5 A」は5GとFeliCaに対応したミドルクラスのスマホであり、SIMロックフリー市場では数少ない貴重な存在だ。写真は新製品発表会で撮影したもの
撮影:佐野 正弘
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 そしてAシリーズの新機種は「OPPO A54 5G」。こちらはOPPO Reno5 Aに近いデザインと機能を備えながらもFeliCaは非搭載で、なおかつクアルコムのエントリークラスのチップセット「Snapdragon 480 5G」を採用するなどして、メーカー希望価格3万1800円という安さを実現した。

 これらの3機種は、オッポから提供を受けたKDDIとソフトバンクがメイン・サブブランドでの販売を打ち出している。その発売から1カ月前後とあまり間を空けることなく、自社でSIMロックフリー市場向けに販売するとしたことには驚きがあった。

 国内で圧倒的なシェアを持つ米Apple(アップル)を除けば、メーカーが携帯大手に提供したスマホをSIMロック市場向けに販売する場合、携帯大手に配慮して半年近く経過してから販売を開始するのが通例となっている。オッポがこれだけ短期間で自社販売することを打ち出したのは、それだけ日本国内での販売拡大に自信を持っているからだろう。