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ブランドと政治という難題を克服できるのか

 それだけに国内における両社の課題はかつてのファーウェイ・テクノロジーズが抱えた課題に近い部分がある。大きく2つある。

 1つは、国内でのブランド確立である。両社は共に世界的に高いシェアを獲得しているとはいえ国内ではあくまで新規参入の中国メーカーという立場にすぎず、一般消費者の認知が高いわけではない。

 そうしたことからオッポは芸能人を起用したテレビCMを早くから展開するなど、知名度向上に向けた策を推し進めている。シャオミもSNSを活用したプロモーションに力を入れているようだ。携帯大手から端末を購入する人は、知名度やブランド力による安心感を重視する傾向にあるだけに、知名度を高めるプロモーション施策が今後重要になってくる。

課題のブランド力や認知を高めるべく、オッポは国内で、タレントの指原莉乃さんを起用してテレビCMを積極展開している。写真は新製品発表会で撮影したもの
課題のブランド力や認知を高めるべく、オッポは国内で、タレントの指原莉乃さんを起用してテレビCMを積極展開している。写真は新製品発表会で撮影したもの
撮影:佐野 正弘
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 そしてもう1つ、課題となってくるのはやはり政治である。具体的に言えば、NTTドコモへの端末供給である。KDDIやソフトバンクはファーウェイ・テクノロジーズへの制裁以降も中国メーカーの採用には比較的積極的で、かつて米国から制裁を受けていたが、現在は解除されている中国ZTE製端末の取り扱いも復活させた。オッポとシャオミの2社にとっても交渉がしやすかったといえる。

 だがNTTドコモはファーウェイ・テクノロジーズが制裁を受けて以降、中国メーカー製端末の採用に非常に慎重な立場を取っている。2021年5月19日に開催された同社の新サービス・新商品発表会でも中国メーカーや、中国企業を親会社に持つメーカーの製品採用は見られなかった。中国との対立が深まっている米国の同盟国である日本において、政府が大株主でもあるNTTの完全子会社になったNTTドコモは中国メーカー製品を一層採用しづらい状況にあるといえよう。

NTTドコモの2021年夏商戦に向けた新機種には中国メーカー製品の姿はない。写真は新製品発表会で撮影したもの
NTTドコモの2021年夏商戦に向けた新機種には中国メーカー製品の姿はない。写真は新製品発表会で撮影したもの
撮影:佐野 正弘
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 ただ一方でNTTドコモも、韓国LG Electronics(LGエレクトロニクス)の撤退で端末の調達先が減少しており、中国メーカーを採用できないと低価格帯のラインアップに不安が生じつつあるという弱みがある。政治が絡む課題はメーカーの努力だけで解決するのが難しい部分もある。NTTドコモへの端末供給実現に向けては、やはり世界市場で培った価格面での強みをどこまで国内で発揮できるかが重要といえそうだ。