全3169文字
PR

 2022年7月2日からおよそ3日にわたって続いたKDDIの通信障害。規模の大きさや期間の長さなどから社会的にも極めて大きな影響をもたらした。同社による通信障害の詳細からは、通信障害がこれだけ大きなものとなった要因も見えてくる。

KDDIの通信障害はなぜここまで大規模になったのか

 2022年7月初頭、大きな注目を集めることとなったKDDIの通信障害。2022年7月2日の深夜からおよそ61時間、3日にわたって影響が続いたこの通信障害は、4Gのネットワークで音声通話を担う「VoLTE」の部分を中心として障害が起こったことから、主として音声通話の利用に大きな影響が発生し、110番などの緊急通報ができなくなるなど深刻な事態をもたらした。

 それに加えて企業が利用する一部のIoT通信にも影響が及んだ。それを用いた物流や銀行、行政などのサービスが利用できなくなるなど、間接的にも非常に多くの人に影響が及ぶこととなった。KDDIでは音声通話利用者2278万人と、データ通信利用者765万人に影響が出たとしているが、何らかの形で通信障害の影響を受けた人はもっと多いとみられる。

 しかしなぜ、これほど大規模な通信障害が発生するに至ったのだろうか。KDDIはこれまでにも何度か説明会を実施しており、同社のコアネットワーク内のルーターのメンテナンス中にトラブルが起きて音声通話が15分間つながらなくなり、元に戻したところVoLTEによる通話を処理する「VoLTE交換機」にその間のアクセスが集中。輻輳を招いてそれが加入者データベースに波及し、大規模な通信障害へと発展した⎯⎯という経緯は明らかにされた。

 だが当初は通信障害の最中、あるいは収まった直後ということもあって、詳しい原因の分析は進んでいなかった。だがそれからある程度時間が経過して調査が進み、2022年7月28日にKDDIは総務省に事故報告書を提出、通信障害の詳細な経緯が明らかになったようだ。

 2022年7月29日にKDDIが実施した説明会では、これまで判明していなかった通信障害の詳細な内容が明らかにされている。その内容から、今回の通信障害における問題の本質的な部分を確認してみよう。

2022年7月2日から3日間にわたって通信障害が続いたKDDI。2022年7月29日に記者説明会を実施して通信障害の全容について改めて説明するとともに、改めて謝罪している。写真は同説明会より(筆者撮影)
2022年7月2日から3日間にわたって通信障害が続いたKDDI。2022年7月29日に記者説明会を実施して通信障害の全容について改めて説明するとともに、改めて謝罪している。写真は同説明会より(筆者撮影)
[画像のクリックで拡大表示]