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 楽天モバイルはエリア整備の拡大によって39都道府県の一部地域でKDDIとのローミングを終了するとし、経営上最大の懸念事項だったローミング費用の問題解決に取り組んでいる。ローミング終了により加入者獲得に向けて攻めの姿勢を加速するとみられるが、今後を見据えると新たな課題となりつつあるのが半導体不足だ。

赤字抑制のためローミングの早期終了を目指す

 0円から利用できる料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」やiPhoneの取り扱い開始など、2021年に大きな施策を相次いで打ち出してきた楽天モバイル。同社にとって大きな課題とされているのがネットワークが利用できるエリアの広さだ。

 新興事業者である楽天モバイルはゼロから携帯電話のインフラを構築しているのに加え、免許が割り当てられている周波数帯も少ないなど、既に4Gでは全国で広範囲のエリアをカバーしている大手3社と比べ、エリア面で不利な状況にある。だがそれでも同社は4Gのエリア整備を急ピッチで推し進めており、2021年9月30日時点では人口カバー率が94.3%に達したという。

 そこで楽天モバイルは2021年10月1日以降、39都道府県の一部地域で順次KDDIとのローミングを終了させ、楽天モバイル回線のみでの運用に切り替えていくとした。楽天モバイルは自社のネットワークでカバーできていないエリアについて、これまでKDDIとのローミングで賄ってきたのだが、それを終了しようという動きに出たことは大きな変化だ。

人口カバー率90%を超えた楽天モバイルは、2021年10月より39都道府県でKDDIとのローミングを順次終了するとしている
人口カバー率90%を超えた楽天モバイルは、2021年10月より39都道府県でKDDIとのローミングを順次終了するとしている
(出所:楽天モバイル)
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 楽天モバイルのサービス開始は2019年10月、本格サービス開始は2020年4月であり、2021年10月の時点で広範囲でのローミングを終了するというのはかなりの急ピッチである。なぜ楽天モバイルがそこまでしてローミングを終了させたいのかといえば、ひとえにローミング費用の削減であろう。

 楽天モバイルは契約者が増えるにつれローミングの利用も増え、そのローミング費用が経営の重荷になっていたようだ。実際同社の代表取締役会長兼社長でCEOの三木谷浩史氏は、楽天グループの決算説明会などで度々ローミング費用の高さに言及しており、それが理由で積極的な加入者獲得策を打ち出せないとしていた。

楽天グループ2021年第2四半期決算説明会資料より。利用者の増加に伴うローミング費用の増大が、赤字拡大の大きな要因になっているという
楽天グループ2021年第2四半期決算説明会資料より。利用者の増加に伴うローミング費用の増大が、赤字拡大の大きな要因になっているという
(出所:楽天グループ)
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 同社が当初2026年3月末に予定していた人口カバー率96%の達成計画を、2021年夏ごろへと大幅に前倒し(その後延期、詳しくは後述)したというのも、ローミング費用をいち早く抑えて支出を減らし赤字を抑制したいが故といえる。エリアの拡大とローミング費用抑制が、現在の楽天モバイルにとって最重要課題となっていることは確かだろう。