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 総務省は楽天モバイルに極めて有利なプラチナバンドの再割り当て案を打ち出した。これに対し、NTTドコモは2022年11月30日、現在使用されていない700MHz帯の3MHz幅を4G(第4世代移動通信システム)用に割り当てる案を提示し、注目を集めている。楽天モバイルもこの案に賛同の姿勢を示すなど、一連のプラチナバンド問題の解決を一歩前進させる可能性が高まっているが、実現に向け課題も少なからずある。

干渉対策の空き帯域を活用するドコモの提案

 総務省でのプラチナバンド再割り当てに関する議論は、楽天モバイルの主張がほぼ全面的に受け入れられる形で案がまとまりつつある。プラチナバンドを持たない楽天モバイルにとってまたとない朗報となったことは確かだが、一方で楽天モバイルからプラチナバンドを奪われる可能性のある携帯電話大手3社は、貴重なプラチナバンドの一部を失うだけでなく、再割り当てにかかる巨額な工事費用の全額負担が求められるだけに危機感と不満は小さくない。

 それだけに大手3社が、楽天モバイルへのプラチナバンド再割り当てを阻止する策をいかに講じるかが注目されていたのだが、大きな動きを見せたのがNTTドコモである。同社は2022年11月30日に実施された総務省の情報通信審議会 情報通信技術分科会 新世代モバイル通信システム委員会 技術検討作業班において、「700MHz帯への狭帯域4Gシステム導入の提案」を打ち出したのだ。

 これは現在使われていない700MHz帯の一部を、4G向けに割り当てるという提案だ。700MHz帯は既に大手3社に割り当てられている帯域なのだが、上りと下りを別々の周波数帯で受け持つFDD(周波数分割複信)方式が用いられている。上りに利用する周波数帯は隣接する地上デジタルテレビ放送や特定ラジオマイクとの干渉を避けるため、その間に4M〜8MHzほどの空きを設けて割り当てられている。

 そこでNTTドコモは、空き帯域のうち3MHz×2幅をLTE-Advanced、すなわち4G用として割り当てることを検討すべきだと提案したようだ。空きを削れば隣接する機器との帯域幅が近くなるため干渉の可能性が出てくるが、NTTドコモは割り当てる帯域が非常に狭いことから隣接するシステムに影響を与える可能性が低く、共用できる可能性があるとしている。

総務省「新世代モバイル通信システム委員会 技術検討作業班」第29回会合のNTTドコモ提出資料より。NTTドコモは、現在干渉回避のために設けられている700MHz帯の空き帯域の一部を、4G向けに割り当てることを提案している
総務省「新世代モバイル通信システム委員会 技術検討作業班」第29回会合のNTTドコモ提出資料より。NTTドコモは、現在干渉回避のために設けられている700MHz帯の空き帯域の一部を、4G向けに割り当てることを提案している
(出所:総務省)
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 日本において通常、携帯電話向けに割り当てられている周波数帯は5MHz以上というのが一般的なので、3MHzという幅は非常に狭いように見える。だがNTTドコモによると、標準化団体の3GPPの標準仕様で3MHz×2幅での利用も定められており、既に米国やベトナム、インドで割り当ての実績もあるという。

 そうしたNTTドコモの提案を受けて、同委員会では狭帯域の700MHz帯を4G用として割り当てるべく本格的な検討を開始することを明らかにした。今後技術検討作業班の下「700MHz帯等移動通信システムアドホックグループ」を設置し、関係する企業や団体が参加して検討が進められるようだ。

総務省「新世代モバイル通信システム委員会 技術検討作業班」第29回会合のNTTドコモ提出資料より。3MHz幅の割り当ては3GPPの標準仕様にも存在しており、海外では既に使われている事例もあるという
総務省「新世代モバイル通信システム委員会 技術検討作業班」第29回会合のNTTドコモ提出資料より。3MHz幅の割り当ては3GPPの標準仕様にも存在しており、海外では既に使われている事例もあるという
(出所:総務省)
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