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 ここ数年来、携帯電話業界に甚大な影響を与えてきた通信行政だが、新たに内閣総理大臣に就任した岸田文雄氏の下、携帯電話業界と政治の関係はどう変わるのだろうか。岸田氏が掲げる「デジタル田園都市国家構想」から、5G(第5世代移動通信システム)のインフラ整備と2022年の通信行政を占ってみたい。

政権交代で注目高まる地方での5Gエリア整備

 2021年、国にとって、そして携帯電話業界にとっても大きな変化となったのが首相の交代だ。前内閣総理大臣の菅義偉氏が自民党総裁選への出馬を見送り、任期満了をもって退任したことで新たに岸田文雄氏が内閣総理大臣へ就任するに至っている。

 菅氏といえばかつて総務大臣を経験しており、官房長官時代から携帯電話業界への関与を強めるなど、携帯電話料金の引き下げに非常に熱心なことで知られていた。その菅氏が首相となり、携帯電話大手3社に政治的圧力をかけた結果、2021年には低価格の料金プランが相次いで投入され料金引き下げが進んだことは記憶に新しい。

 だが菅氏が首相を退任したことから、ここ最近の動向を見る限り行政による携帯電話料金の引き下げ圧力は弱まってきている印象だ。一方で今後は岸田氏の政策が強く影響してくると考えられる。では、2022年は携帯電話業界にどのような影響がもたらされるのか。それを示しているのは、岸田氏が掲げている「デジタル田園都市国家構想」であろう。

 これは、地方からデジタルの実装を進めて変革を起こし、地方と都市の差を縮めていくという構想。少子高齢化が著しく、多くの課題を抱えている地方をデジタルで活性化しようというのがその目的といえるだろう。

 その実現に向けては、デジタルを活用した先進的なサービスの実装、デジタルを活用できる人材の育成や確保、そしてデジタルを活用するための基盤整備が求められている。中でも5Gは、今後5Gの実力をフルに発揮できるスタンドアローン運用への移行が進み、企業や自治体での活用が増えると見られていることから、地方へのネットワーク整備は優先順位が高いものになるのではないかと考えられる。

内閣官房「デジタル田園都市国家構想実現会議」第1回会合においてデジタル田園都市国家構想担当大臣である若宮健嗣氏が提出した資料より。構想の実現に向けた検討課題の1つとしてデジタル基盤の整備があり、そこには5Gも含まれている
内閣官房「デジタル田園都市国家構想実現会議」第1回会合においてデジタル田園都市国家構想担当大臣である若宮健嗣氏が提出した資料より。構想の実現に向けた検討課題の1つとしてデジタル基盤の整備があり、そこには5Gも含まれている
(出所:内閣官房)
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