スマートフォンやLTEの普及により、日本のモバイル環境のグローバル化が進んで久しい。端末や技術は世界共通のものとなり、「ガラパゴス携帯」と皮肉られた時代から隔世の感がある。だがスマートフォンを使う多くの人は「ごく普通の日本人」である。今のモバイルを取り巻く状況を捉えるには、その視点が不可欠だ。この連載では、「日本でスマホを使う人々」という見地から、最新のモバイル事情に鋭く斬り込む。

日本的スマホ論
目次
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準備進むデュアルSIMによる非常時バックアップ回線、残された課題とは
2022年のKDDIの通信障害で関心が高まった通信事業者のバックアップ回線。そうした中、KDDIとソフトバンクの2社はデュアルSIMの仕組みを活用し、他社回線を活用したサービスを提供すると発表した。NTTドコモも追随する姿勢を見せているが、今後に向けては課題も少なからずあるようだ。
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5G固定回線・法人サービスや郵便局店舗閉鎖、楽天モバイルの急な動きは何を示すのか
楽天モバイルが2023年早々、いくつかの大きな動きを見せている。固定ブロードバンドの代替サービス「Rakuten Turbo」や法人向けプランを新たに提供する一方、郵便局内に展開してきた簡易型店舗を約200店閉鎖すると発表。
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プラチナバンドが対象外となった周波数オークション、総務省の狙いと課題
国内での周波数オークション導入に関する議論。総務省は2022年11月にその検討会の取りまとめを公表し、大枠の方針としてオークション方式の導入を打ち出した。だがその対象はミリ波帯などに限定され、プラチナバンドなどには適用されないようだ。
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ARPU反転で最悪期を脱しつつある携帯3社、大容量プランで成長軌道に乗れるか
政府主導による料金引き下げ施策の影響で業績悪化に苦しみ続けた携帯大手3社。だが動画サービスの利用拡大などによってARPUの下げ止まり傾向が見え、最悪の時期を脱しつつある。大容量プランの契約増により、3社はモバイル通信事業を再び成長軌道に乗せることができるだろうか。
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インフラ・スマホ・通信行政、2023年の携帯電話業界で最も関心を呼ぶ話題は何か
円安に通信障害、「1円スマホ」問題にプラチナバンド騒動と、混乱が続いた2022年の携帯電話業界。2023年はそこから抜け出し、明るい未来を打ち出せるのだろうか。インフラ、端末、そして通信行政の3つの視点から、2023年の注目すべき話題を見ていこう。
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何度もよみがえる「1円スマホ」問題、携帯業界の端末値引き依存が変わらない理由
総務省の有識者会議「競争ルールの検証に関するWG」で、スマートフォンを直接値引きして激安価格で販売する、いわゆる「1円スマホ」の見直しに向けた議論が始まった。
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NTTドコモ提案の狭帯域700MHz帯、楽天モバイルのプラチナバンド問題は決着なるか
総務省は楽天モバイルに極めて有利なプラチナバンドの再割り当て案を打ち出した。これに対し、NTTドコモは2022年11月30日、現在使用されていない700MHz帯の3MHz幅を4G(第4世代移動通信システム)用に割り当てる案を提示し、注目を集めている。
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プラチナバンド再割り当ては楽天モバイルに軍配、懸念される携帯電話産業への副作用
総務省で進められていたプラチナバンドの再割り当てに関する議論。大荒れの議論となった末、総務省の判断は楽天モバイルに非常に有利なものとなった。赤字に苦しむ楽天モバイルには朗報だが、日本の携帯電話産業全体に与える副作用も小さくないのではないか。
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ゲーミングにコンパクトさ、ニッチを追求するASUSのスマホ戦略
台湾のASUSが個性的なスマートフォン新機種を相次いで発表している。パソコンでは大手ながらもスマートフォンでは非常に厳しい状況にある同社だが、どのような取り組みで市場での生き残りを模索しているのだろうか。
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スペースX「Starlink」が日本でサービス開始、衛星通信をスマホで利用する課題
低価格で利用できるサービスが出てきたことで、急速に注目を集めるようになった衛星通信。米スペースXの「Starlink」が日本でサービスを開始するなど国内でも大きな動きが出てきているが、スマートフォンで衛星と直接通信するにはまだ課題もあるようだ。
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KDDI大規模障害を機に注目浴びる「非常時ローミング」、導入への高いハードル
2022年7月2日に発生したKDDIの大規模通信障害を機に、非常時に他社回線へローミングする仕組み、いわゆる「非常時ローミング」に関心が高まった。だが導入には少なからず課題があり、先のKDDIの通信障害のような事例ではローミングでまかなえないこともみえてくる。
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「OPPO Pad Air」を国内初投入、タブレットに注力するオッポの狙い
中国の広東欧珀移動通信(オッポ)の日本法人であるオウガ・ジャパンは2022年9月26日、低価格のスマートフォン「OPPO A77」に加え、新たにタブレット「OPPO Pad Air」の日本市場への初投入を発表した。
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HTCやaiwaなど、ニッチ市場開拓を狙うスマートデバイスが相次ぐのはなぜか
台湾HTCが約4年ぶりのスマートフォン「HTC Desire 22 pro」を投入し、IT関連機器の受託製造を手掛けるJENESISが「aiwa」ブランドでスマートフォンなどの投入を発表するなど、従来とは違ったポジションの企業がスマートフォンやタブレットを積極的に投入している。
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ニーズが縮小したコンパクト・ハイエンドスマホ、「Xperia 5 IV」が生き残るには
ソニーは2022年9月1日、スマートフォンの新機種「Xperia 5 IV」を発表した。ユーザーの大画面志向の高まりによってコンパクトモデルの需要は大幅に低下している。Xperia 5 IVのようなコンパクト・ハイエンドモデルが生き残るには何が求められるのだろうか。
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Google Tensor搭載で5万円台、「Pixel 6a」で勝負に出たグーグル
米グーグル(Google)が2022年7月28日に発売した新しいスマートフォン「Pixel 6a」。他の「Pixel 6」シリーズと同様、独自開発の「Google Tensor」を搭載し高い性能を持ちながらも、価格を5万円台に抑えているのがポイントだ。
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KDDIの通信障害の全容が判明、大規模化・長期化を招いた本当の理由
2022年7月2日からおよそ3日にわたって続いたKDDIの通信障害。規模の大きさや期間の長さなどから社会的にも極めて大きな影響をもたらした。同社による通信障害の詳細からは、通信障害がこれだけ大きなものとなった要因も見えてくる。
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背面が透き通る「Nothing Phone(1)」、停滞するスマホ市場を活性化するか
英ナッシングテクノロジーが発表した「Nothing Phone(1)」。個性的なデザインと独自性を売りにするNothing Phone(1)からは、コモディティー化が進んだスマートフォンに対する不満の高まりと、今後の大きな変化につながる新しい動きを見て取ることができる。
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iPhoneをはじめスマホに円安が波及、値上げトレンドに苦悩するメーカー
急速に進んだ円安の影響からスマートフォンの値上げが懸念されているが、少し前から政府の端末値引き規制などによって高額化が進んでいたのも事実。スマートフォンの値上げトレンドが続く中、消費者だけでなくスマートフォンメーカーも苦悩している様子がうかがえる。
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スマホメーカーは何で勝負するのか、OPPO Reno 7 Aに見るオッポの日本戦略の変化
中国オッポの日本法人であるオウガ・ジャパンは2022年6月16日、主力となるミドルクラスのスマートフォン新機種「OPPO Reno 7 A」を発表した。オッポが強みとするオープン市場でも防水・FeliCaの搭載が当たり前となる中、同社の日本市場に向けた戦略はどのように変化しているのだろうか。
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防水・FeliCa対応スマホが急増、その裏にある端末メーカーの競争環境の激変
オープン市場向けスマートフォンのメーカーはこれまで、防水・FeliCaといった日本独自のニーズへの対応に消極的だった。ここ最近、対応端末が急増しており状況が急速に改善しつつあるようだが、このことは従来の市場の垣根を超えメーカー間の競争が新たな段階に突入しつつある様子も示している。