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 ITのプロジェクトマネジャーたちに部下のどういうメールに困惑するかを尋ねたところ、長いメールを挙げる人が多かった。こちらが知りたい内容を簡潔に書いてほしいのに、本題とは直接関係しない経緯や言い訳、自分の心情などを延々とつづった長いメールを返してくるという。

 実例を参考に筆者が作成した具体例を示す。ユーザーA社の開発案件でサブリーダーを務める、システムインテグレーターB社の鷹木さん(仮名)が、マネジャーの平野(同)さんからプロジェクトの状況を尋ねられそれに返信したメールだ。

 鷹木さんがA社に出向いた前回の打ち合わせで納期短縮の要請があり、鷹木さんは回答を保留した。しかしA社は鷹木さんが承諾したと勘違いしている。このことを報告する内容である。

長いメールその1
長いメールその1
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 いきなり報告が遅くなった言い訳が長々と書いてある。本題であるA社プロジェクトの状況報告についても、ごちゃごちゃ書いてあり分かりづらい。原因の1つは1文が長いことだ。

 おまけにメールの結びは、おわびがしつこく繰り返されている。貴重な時間を使ってこんなメールを読まされた平野さんはイライラが頂点に達するだろう。

 以下は改善したメールだ。

 前置きを最小限にした上で、本題であるA社プロジェクトの状況報告のポイントを箇条書きで整理している。結びについては、平野さんにどうしてほしいのかを簡潔に示した。

長いメールその1の改善例
長いメールその1の改善例
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 仕事のメールでは、自分が書きたいこと、自分の頭に浮かんだことを書き連ねてはいけない。仕事を先に進めるために相手が必要とする情報は何かを考え、簡潔に書くことが重要だ。

 もう1つの例を見てみよう。こちらは社外宛てのメールである。

長いメールその2
長いメールその2
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 「会議のスケジュールを変更してほしい」という簡単な申し入れなのだが、その本題に至るまでが長い。件名に「【相談】8月10日定例会の日程変更」と趣旨を記載しているのだから、本文の最初で再度そのことを書く必要はない。

 単刀直入にリスケしたいといえば、2、3行で終わるはずだ。ところがスケジュール変更が申し訳ないと思ったのか、丁寧に書き過ぎて余計に内容をつかみにくくなっている。

 読み手は「要はリスケでしょ。どうしてこんな長文を送ってくるのか」とうんざりするだろう。

 説明過多なのは、相手に知らせる必要のない事情や気持ちなども書いているためだ。そのくせ変更候補日の時間についての記載が抜けていて、読み手は書き手に問い合わせなければならない。