風呂場でイメージ
「あれがこうなって…。いや待てよ。こうした方がいいな…」
自宅の風呂の中で目をつむり、ひたすらスターブレードでの演出を考える東山。スターブレードという材料で、ドーム型ゲーム機の魅力をどう伝えるか。頭の中はそのことでいっぱいだった。
東山は、その演出を考えるのが楽しみで仕方なかった。何より、東山自身がドーム型ゲーム機にほれ込んでいたからだ。だからこそ東山は、本業が家庭用ゲームの開発であるにもかかわらず、上司に直訴してまでドーム型ゲーム機の開発チームに自ら加わっていたのである。
ゲーム時間は1回当たり5~6分。展示会で、より多くの人にゲーム機を体験してもらうためである。この短い時間に、ドーム型ゲーム機の魅力をどう伝えるか。そして話題性をどう盛り込むか。
考え出した演出の1つが、ユーザーに首を振らせることだった。今までのゲーム機とは違い、ドーム型の画面で正面を向いて見えるのは、全画面のせいぜい30~40%ほど。その部分に敵戦闘機などの映像を全て表示するのではなく、あえて一部の映像しか出さないようにした。そうすれば、敵戦闘機を探すためにユーザーは首を振る。こうした動作は、これまでの平面ディスプレーのゲーム機では体験できない。
加えて、映像体験を他の人に話したくなるような物語性も短い時間に盛り込んだ。例えば、特撮映画でよくある発進シーンなどを盛り込むなどして、「開始1分間でユーザーの心をわしづかみにしようと考えた」(東山)。