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 バスなんて、セキュリティーと関係がないだろうと思われる。しかし、バスに搭載されたカメラやセンサーが問題視された。これらを経由してデータが漏洩するかもしれない、というのだ。

 この理屈が成り立つなら、米国では鉄道車両を供給する中国企業も排除されるだろう。実際、同領域でも中国製は排除されつつある。

 それにしても、DJIやファーウェイの製品には、日本の部品が多数搭載されている。日本の部品がなければ生産できない。それでも隔離政策を取れば、どうしても中国企業は中国製部品の採用を始めるだろう。そして、多額をかけて中国製部品の性能向上に力を注いでくるはずだ。そうすると、中長期的に日本にメリットがあるだろうか。

 中国製品には、米国の技術も多数使われている。米国の技術を中国企業に販売できず、さらに米国が中国の安価なハードウエアを購入できない状況に、果たしてメリットがあるといえるだろうか。

 繰り返しになるが、バックドア問題はあるとはいえ、その存在の有無はいまだ証明されていない。その状況において、中国製を使わないという手はまだしも、排除宣言を出さずに済む方法はなかったのかと考える価値はある。

アジアの出口としての中国

 私がそう考える理由は、中国がアジアの出口戦略として活用されているからだ。つまり、中国排除はすなわちアジア排除につながる。米アップル(Apple)の「iPhone」を例に取るまでもなく、中国は無数の組立工場を持つ。

 日本や韓国の部材が中国に集められ、そして中国が組み立て、米国に送る。中国がiPhoneの組み立てにおいて1台当たり数ドルしか稼いでいないことは、広く知られている。価値の大部分を占めているのは、中国外の部材によるものだ。従って、中国排除は対岸の火事ではなく、むしろ自国排除とすらいえる。

 製品の出口が中国なだけで、本来の影響度でいえば、アジア対米国と考えてもよいのだ。私は、中国が「中国製造2025」をあまり公的に発表する機会が少なくなったのを、むしろ畏怖している。私には、中国製造2025は、世界の組み立て工場としての立場から脱却し、日本や韓国が担ってきた電子・電気部品工場としての立場を奪取する施策に思える。米中経済戦争の中で、中国は中国製造2025の掛け声を潜めながら虎視眈々(たんたん)と、米国側に付いた日韓を超越する準備を重ねているように見えるのだ。