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進むSSDコントローラーの内製

 要するに、NANDフラッシュベンダーは、既にNANDフラッシュのチップだけを生産していても駄目、ということだ。自社のNANDフラッシュを生かすコントローラーを併せて用意できなければ、SSDやスマートフォンのメーカーに採用されにくくなる。そこで主要なNANDフラッシュのベンダーは自前でコントローラーを用意するようになっている。

 例えば韓国サムスン電子(Samsung Electronics)、米インテル(Intel)といったベンダーは、いち早く自社でSSD用のコントローラーを提供している。やや遅れて東芝や韓国SKハイニックス(SK hynix)なども自社提供に踏み切っている。SKハイニックスのコントローラー技術の基礎となっているのは、2012年に買収した米リンクアメディア・デバイセズ(Link_A_Media Devices)のコントローラーだ。同コントローラーは、LM80000シリーズとして米コルセア(Corsair)製SSDなどに搭載されていた。

 NANDフラッシュメーカー以外でもこの傾向は変わらない。HDD大手の米シーゲート・テクノロジー(Seagate Technology)は、他社から調達したNANDフラッシュに、自社製のコントローラーを組み合わせたSSDを販売している。同社はSSDコントローラーの技術を、先に挙げたSandForceを2012年に買収した米LSIコーポレーション(LSI Corporation)、そのLSIを買収した米アバゴ・テクノロジーズ(Avago Technologies)のフラッシュ関連事業を2014年に買収する形で手に入れている。

 米マイクロン・テクノロジー(Micron Technology)は長らくマーベルやシリコンモーションのコントローラーを利用した製品を提供してきていたが、2019年3月発表の「Micron 2200 NVMe SSD」シリーズでついに自社開発のコントローラーに切り替えている。

 もちろん、低価格製品の中には依然としてサードパーティーのSSDコントローラーを利用している製品も少なくない。しかしコンシューマー市場向けのハイエンド品、およびサーバー/エンタープライズ向け製品に関しては、ほぼNANDフラッシュのベンダーが自前で提供するコントローラーを利用していると考えてよい。

大原 雄介(おおはら ゆうすけ)
テクニカルライター
外資系コンピュータメーカーや独立系ソフトウエアベンダーなどで技術者としてハード/ソフト開発に従事するかたわら、PC黎明期から幅広い技術記事や書籍を執筆。海外企業勤務を経て独立して現職。単著に「図解 64ビットがわかる」(技術評論社、2006年)、「忘れ去られたCPU黒歴史 Intel/AMDが振り返りたくない失敗作たち」(アスキー・メディアワークス、2012年)など。