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 製薬企業がソフトウエアを販売する――。認知症の領域を対象に創薬を手掛けるエーザイは、高齢者を対象に認知機能の低下を客観的に評価するソフトウエアを開発した。「医薬品以外の売り上げにしたい」と意気込む同社の取り組みについて、エーザイの執行役でチーフメディカルオフィサージャパン/アジアの小林啓之氏、執行役でチーフデータオフィサー 兼 筑波研究所長の塚原克平氏、執行役でチーフデジタルオフィサー 兼 ディメンシア トータルインクルーシブエコシステム担当の内藤景介氏に聞いた。

(左から)エーザイの執行役でチーフメディカルオフィサージャパン/アジアの小林啓之氏、執行役でチーフデジタルオフィサー 兼 ディメンシア トータルインクルーシブエコシステム担当の内藤景介氏、執行役でチーフデータオフィサー 兼 筑波研究所長の塚原克平氏
(左から)エーザイの執行役でチーフメディカルオフィサージャパン/アジアの小林啓之氏、執行役でチーフデジタルオフィサー 兼 ディメンシア トータルインクルーシブエコシステム担当の内藤景介氏、執行役でチーフデータオフィサー 兼 筑波研究所長の塚原克平氏
(写真:加藤康)
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高齢者を対象に認知機能の低下を客観的に評価するソフトウエア「VIVO(仮称)」を開発しています。どのようなものですか。

(小林氏)認知機能を評価するアルゴリズムが搭載されたソフトウエアです。被験者に歩行してもらったり、音声応答に対して発話してもらったり、図形を模写してもらって評価します。アルゴリズムはエーザイが独自に開発しました。

 認知機能の検査は通常、病院で2~3時間かかるものです。生活の中で取得できるデータを利用し、より短時間で認知機能を測定できないかと考えてアルゴリズムの構築を始めました。予測機能が高いものが作れたので、今は社会実装しようとしています。

エーザイの執行役でチーフメディカルオフィサージャパン/アジアの小林啓之氏
エーザイの執行役でチーフメディカルオフィサージャパン/アジアの小林啓之氏
(写真:加藤康)

VIVOを誰にどのように使ってもらうのですか。

(小林氏)BtoBビジネスを考えています。シニア人材を積極的に活用したいコンビニエンスストアやファストフード、各種工場などに展開していきたいです。もう1つは、自動車会社との業務提携を検討しています。VIVOのデータと、運転中のデータを照らし合わせながら事故を無くす取り組みを検討しています。

医薬品を販売するという製薬企業の既存のビジネスとは全く違いますね。

(小林氏)はい、全く別の事業と言ってよいと思います。製薬企業がソリューションの事業を手掛ける場合は医薬品の売り上げをゴールにしている場合が多いですが、今回はそれをゴールにしていません。ソリューションの開発と販売そのものをビジネスにしようとしています。

事業者は面接時に高齢者の認知機能を知りたいというニーズがあるのでしょうか。

(小林氏)事業者は高齢者と仕事のマッチングのために認知機能を評価したいと考えています。認知機能の低下を特定するためではありません。例えばシニア人材を積極的に活用しているコンビニでは、この4年間で60歳以上の働き手が70%増加しているとも聞いています。高齢者は若手に比べて就職してからの定着率が高いことが多く、意欲的な人も多いです。認知機能をはかりつつ、職場ではどの仕事ならできるのか、ということをマッチングする目的での導入が検討されています。

 米国で、こういう職種に対してはこのような身体能力や認知機能が必要という情報などが集まるデータベース「O*NET」があります。我々はこのデータベースを参照し、認知機能と仕事の内容をひも付けて判定しようとしています。この評価を受けてもらえれば、「この人はこの仕事の範囲なら一人でできる」「この仕事をする際には周囲のサポートが必要そうだ」ということが分かるので事業者も採用の計画を立てやすいと考えています。

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