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(ビデオの中の相談)5月ですね。私は入社してもう5年がたつので、私より若い社員が4世代も入社してきたことになります。いわゆる「中堅どころ」になりつつあります。新入社員を見ていると、「私も入ったころはあんな感じで夢をもってエネルギッシュだったのだろうなあ」と思ってしまいます。

 そして一部の新入社員が、5月になると「あー、やっぱり会社に勤めるのって辛い…」となんとなくめいってきて、5月病になるのを見て「理想と現実のギャップを感じているんだ。仕方ないよな。だんだん慣れるよ」と思ってしまっている自分がいます。5年も会社に勤めると、仕事にも慣れてきて、悪い言い方をすると「こなす」ことで毎日を過ごしている気がします。新入社員の当初の元気さ、そしてその後の落ち込みの振幅の大きさを見ていると、日々を平坦(たん)に過ごしてしまっている自分はこれでいいのかな、と毎年この時期に思ってしまいます。

 自分で言うのも何ですが、私は入社したてのころは同期の中でも一番エネルギッシュでさまざまな新しいことにチャレンジするタイプでした。ただ、毎日の与えられた仕事以外のことをやろうとして上司に提案するたびに否定されたり止められたりを繰り返すうちに、おとなしく存在感も薄い人間になってしまったような気がします。「まだ5年、もう5年…」というフレーズが頭の中をぐるぐる回るだけで何もしない日々です。

Biki ビデオはここで一旦止めましょう。5月病ならぬ典型的な「5年病」ですね。でも、この方は「日々平坦にこなして生きていくことに慣れてしまっている」と自戒していますが、そういう自戒をすること自体、まだ心の中には「種火」が残っている証拠ですね。

井野辺 ボクもそう感じます。

Biki 優秀であればあるほど大企業の中ではこんなふうに牙が抜かれたり、牙が丸められたりしがちですね。

井野辺 牙ですか。

Biki そう。大企業であるというのは、何か大きな既存事業をしっかりとやっているということ。そしてその既存事業のやり方がしっかり確立している。その既存事業以外のことにチャレンジしたり新しいやり方をしようとしたりすると、せっかくの既存事業のやり方の邪魔になる。そういう邪魔を起こせる牙を新入社員の誰でも持って入社してくるのだけれど、優秀な人ほど会社がどういうところであるのか、会社が何を求めているのかを察知して「合わせる」ことができてしまう。

井野辺 じゃあ、若い人は既存事業の固定化されたやり方を学んでそれに合わせることだけを期待されていると…。