全4995文字

Biki その通り。そこで、チームとして決まっている目標値に対して、自分の技術がもしできなければどの項目ができないのかをしっかり考えて、その項目が本当に必要なユーザーをバーチャルでいいから自分だけで作ってみる。もちろん、知り合いや親戚や友人やテレビのドキュメンタリーに出ていた人のように具体的なユーザーであればなおいい。アナタの技術ができた暁には「この人」がとても喜んでくれる、という仮想のユーザーを持つ。こういう仮想のユーザーをペルソナとも言います。

(イラスト:勢川びき)
(イラスト:勢川びき)
[画像のクリックで拡大表示]

井野辺 できるかなあ…。難しそう。

ユーザーになりきる

Biki 大丈夫。別に誰かの承認を得る必要はなくて、自分の心の中に勝手に持てばいいので。もちろん、とても良い仮想ユーザーができたら同じテーマをやっている仲間に披露して共感してもらうのもいいね。そして、実はその思考実験こそが、自分の技術を生かした、とっても魅力ある製品開発につながるので、そのうちチームとして設定した公の「目標値」を変更することにまでなるかもしれないし、そうあってほしい。

井野辺 でも、ユーザーの想定って、技術者が苦手なことでは…。

Biki そういうのが「技術者だから」の2つめの壁。「技術者だからできない」と勝手に壁を作って、自分自身にも周囲の人にも言い訳をしてしまう壁。「技術者だからユーザーの想定はできない」ってこと?

井野辺 まあ、そうです。難しいのでは、と。

Biki そんなことはありません。だって、まず自分自身が毎日何かのユーザーでしょう。それと、純粋に科学研究をするのであれば大学の教授とかを目指す方がいいけれど、「自分の技術を世の中に届けたい」と思ったから企業に入ったのでは?

井野辺 そうだけど、届けるユーザーは自分自身じゃないし。

Biki だから「なりきり力」が必要となる。自分ではない仮想ユーザーになりきる力。

井野辺 そんな超能力みたいな力なんて。

Biki 難しいことをする必要はありません。小説を読んだり映画やドラマを見たりすればいいのです。

井野辺 そんなのでいいの? それだったら誰でもやっているのでは?