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登場人物紹介

Biki(≒瀬川秀樹)
数年前までリコーに長年勤め、新規事業開発センター副所長や未来技術総合研究センター所長を歴任。現在はベンチャーから大企業まで幅広く新規事業のメンターや若手育成研修などを行っている。

(イラスト:勢川びき)
(イラスト:勢川びき)
井野辺くん(井野辺祥雲)
大企業に勤める元エンジニア。入社10年目。現在は新規事業の立ち上げを行っている。

[♪オープニングの音楽♪]

Biki 深々とした夜の闇に心を休める時、いかがお過ごしでしょうか。大企業の中でいろんな壁にとらわれてモヤモヤしている若いアナタの背中を押す「ラジオ風コラム」の時間です。お相手は私Bikiおじさんと・・・

井野辺 Hi! This is Inobe!

Biki どうした? 井野辺くん?

井野辺 暑すぎて頭がおかしくなったわけじゃありませんよ。今回はぜひ、「英語の壁」を取り上げてもらおうと思って。

Biki いつものようにみなさんからの悩みカードは引かずに?

井野辺 夏休み特別編ということで。

Biki 「大企業あるある壁」かどうか怪しいけど、ま、いいかな。確かに「大企業あるある壁」は暑苦しくてうっとうしいし、そればっかりだとヘバるよね。

井野辺 それに私も英語を何とかしたくて仕方ないので。

Biki 仕事で英語に悩んでいる人も多いみたいだし。上司が外国人になったり、英語で説明しなければいけないシーンが増えたり。

井野辺 そうなのです。それに、多くの会社では昇進の条件として、TOEICの点数などが求められるようです。

Biki TOEICの点数だけならその道のサービスに任せるとして、とにかく英語は使えた方がいいよね。

井野辺 Bikiさんは米国に5年以上も駐在していたし、英語は大丈夫なのでしょう?

Biki 「できる」とは言えないけれど、「何とかなる」自信はあるよ。

井野辺 いいなあ。

「しゃべるのは苦手」という思い込み

Biki 日本人は英語できます。

井野辺 はあ?

Biki 考えてごらんよ。1から10までを日本語と英語以外で話せる言語ってある?

井野辺 えーと、中国語だったら「イー」「アール」「サン」「スー」…。えーと、あとは何だっけな。最近麻雀やっていないし。フランス語は「アン」「ドゥ」「トロア」しか分からないな…。

Biki そんな感じだよね。英語だったら日本人のほとんどがtenまで簡単に言える。中学で約1000単語を覚えなくてはならなくて、誰でも数百以上の英単語を知っている。これってすごくない?

井野辺 幾つ単語を知っているかって数えたことないけれど、それぐらいは知っているかもしれませんね。

Biki ところが、残念ながら多くの日本人は「自分は英語はできない」と思い込んでいる。とくに「しゃべるのは苦手」と。

井野辺 そうですね。読み書きの方がマシかも。

Biki 以前聞いた話で「なるほどなあ」と思ったのが「日本人は1000語も英語を知っているのに100語くらいしか知らないような感じでしゃべる。対して、中国人は100語しかしらなくても1000語知っているように堂々としゃべる」ということ。日本人とか中国人とかでステレオタイプの分類をするのは好きではないけど、確かに多くの日本人は英語でしゃべると声が小さくて自信なさげ。

井野辺 自信ありげに大きな声でしゃべることが大事、ということですか?

Biki そ! まずはそれ。大きな声ではっきりしゃべることです。

推測能力に頼っていい

井野辺 間違っていても?

Biki そこがポイント。間違っていてもとにかく大きな声でしゃべるのが大事。最悪なのが黙ってしまうこと。黙ってしまうと、相手はどうしようもない。

井野辺 黙るというか、どうしゃべろうか考えているのですけど・・・。

Biki それが日本の英語教育の大失敗。間違うと×を付けられるから、完璧な文章を頭で考えてからしか口に出せないようにしつけられている。

井野辺 確かにしゃべる前に頭の中で文章を作ろうとしていますね、私も。

Biki 変だと思わない?日本語でしゃべるときは頭で文章を最後まで作ってからしゃべる?

井野辺 そんなことはしてないなあ。

Biki でしょ。だからとりあえずパラパラの単語でいいから浮かんだものから口に出す。そうすると、相手は「ははあ、こういうことが言いたいのだな」と推測できる。黙っていると何も分からない。

井野辺 推測してくれますか? 言いたいことを。

Biki まあ、人によるけどね。特に米国の西海岸のように多様な人種が住んでいる所だったら、もともとの母国語が英語ではない人が多いので、「推測能力」が長けている。東海岸のワシントン近辺のエリートとかは発音がちょっと違うだけで「お前の英語は分からない」とか平気で言うやつらも確かにいるけど、気にしないことです。