全5659文字

投資をするためには「使途不明金」を

Biki できます。というか、新規事業を本気で創るのであれば、その投資的マインドの前提は必須です。新規事業に投資をすることをなりわいとしているベンチャーキャピタル(VC)なんかは、それを前提としたやり方をしている。

井野辺 と、いいますと? へへっ(^o^)

(イラスト:勢川びき)
(イラスト:勢川びき)
[画像のクリックで拡大表示]

Biki 変なところで笑うのだなー。

井野辺 新入社員の時にやった営業研修でお客様との会話で使うのに便利な言葉だというのを思い出したので。「と、いいますと?」って。

Biki それ、私も習ったなー。懐かしい。話を元に戻すと、VCは「ファンド」を作って、そこから投資している。ファンドは大体10年で使うことを前提として、数十億~数百億円を準備します。当たり前だけど、「この10年でどの案件にいくら投資するか」なんて最初は決まっていません。

井野辺 なるほど。確かに。

Biki 会社に置き換えると、「何に使うか決まっていないけれど、新しい事業や技術を開発するためのお金の総額」をあらかじめ決めておくのが理想的です。

井野辺 「使途不明金」みたいな…。

Biki 名称がそれだと良くないけどね(^o^;)。せめて「使途未定金」とか…。これもあまり良くないな。「育成資金」とかだったらまだいいか。

井野辺 名前はとにかく、そんな予算はなかなか獲得できないのでは?

Biki そうなんだ。各社とも「しっかり決まっている事業に必要なほぼ確定しているお金」で大体予算は押さえているから。そこに追加で使途不明金…ではなくて育成資金のような枠はなかなか取りにくい。昔だったら「部長のポケットマネー」のような「よく分からないお金」があって、そこから工面もできたのだけど。

井野辺 それができなくなったのはなぜでしょう。

Biki ITのシステムやツールが発展したのと、「効率化」や「ガバナンス」が重視されて、お金の使い方が「可視化」されすぎたのが根本的な原因だろうな。今は、そういうデータを武器に、経理の若手なんかが本部長に向かって「このお金は何ですか?」などと問い詰めるシーンが当たり前のように見られる。もちろん、「ガバナンス」は成熟社会においてとても重要だから仕方ないけれど。