全5659文字

べき枠と年度枠

井野辺 じゃあ、どうすれば。

Biki 「育成資金」の枠を正式に取ることだね。

井野辺 「枠」ですか。わくわく(^o^;)。

Biki 井野辺くんもだいぶオジサンの領域に入ってきたようだな。「枠」を決めるに当たっては、社長になったつもりで「会社として将来にいくらぐらいかけるべきか」という「べき枠」と、それをベースにした「今年度はいくらの枠を準備しておくか」という「年度枠」を営業利益や預金額といった様々な情報を基に考えて、提案し、確保するのがいい。会社全体での「枠」の意識があれば、各部署でそれに基づいてどれぐらいの枠を持っておくかを決めていける。

井野辺 理想的だけど、できるのかなあ、そんなの。

Biki もし、何もトライせずに「できない」と言うのであれば、それは「でも、お金はないよ~」と平気で言うマネージャーと同じだよ。「場」は自ら創らないと。

井野辺 私が部長とかそういう立場になれば、ぜひトライします! でもこの相談者の方や、私のような役職者ではない若者には無理ですよね…。

Biki 現実はそういう経営全体のポートフォリオに関わる提案や変革は確かに若い人には難しいかもしれない。だけど、飲み会みたいな場も利用してその立場にいる人にそれとなくインプットしておくと何か起こるかもしれないよ。

井野辺 時間がかかりそうですね。それまで待つしかないのかなあ。

新規事業は年度で考えてはいけない

Biki できることはいろいろあるよ。

井野辺 どこから始めればいいですか?

Biki まずは最初に必要なお金を明確にしよう。

井野辺 初年度に必要なお金ということですか?

Biki 違う。新規事業の最初の活動に必要なお金。最初の活動は、「年度」のような単位で考えてはいけない。最初のマイルストーンを設定して、そこにたどり着くまでに必要なお金。新規事業の立ち上げ方の基本はリーンスタートアップ。「仮説」を立て、「検証」し、そこで分かったことを生かして次の「仮説」を立て、また「検証」し、を繰り返す。

井野辺 「仮説」というのは、「こういうユーザがいるはずだ」というようなもので、その「はず」を確かめるために活動して検証するということですね。

Biki そう。そして、考えた仮説はほぼ100%外れる。でも、そこで得た知見を次に生かして新たな仮説を立てるのが重要です。

井野辺 じゃあ、最初のマイルストーンまでというとどのくらいの感じだろう。

Biki ソフトウエアが中心なのか、ハードウエアが中心なのかなどにもよるけど、長くても2カ月。できればもっと短く2週間ぐらい。

井野辺 年度単位とはだいぶ違いますね。

Biki 年度で考えてしまう癖が付いているのは、「安定した既存事業文化」に染まっている証拠。新規事業では、年度のような単位は全く関係ないはず。それぞれの新規事業での必要なマイルストーンを決めること。