
数年前までリコーに長年勤め、新規事業開発センター副所長や未来技術総合研究センター所長を歴任。現在はベンチャーから大企業まで幅広く新規事業のメンターや若手育成研修などを行っている。

大企業に勤める元エンジニア。入社10年目。現在は新規事業の立ち上げを行っている。
[♪オープニングの音楽♪]
Biki 深々とした夜の闇に心を休める時、いかがお過ごしでしょうか。大企業の中でいろんな壁にとらわれてモヤモヤしている若いアナタの背中を押す「ラジオ風コラム」の時間です。お相手は私Bikiおじさんと…。
井野辺 井野辺で…ハクション!
Biki かぜ?
井野辺 アレルギーじゃないかな、と。
Biki 井野辺くんはアレルギーあったっけ?
井野辺 今日の相談カードを読んでいたらアレルギーが感染したようで。
Biki アレルギーって感染するんだ(笑)。
井野辺 こちらの相談カードです。
(カードを読み込んで再生された動画)私の上司は「ちっちゃい人」です。体そのものは身長も高いし大きいのですが、人間としてちっちゃい。いわゆる度量が無い人です。許容力も無い。細かいことばかりをグチグチ言って、できるだけ自分には火の粉が掛からないようにすることだけに力と時間を注いでいるのが見え見えです。
昔は腹が立っていたのですが、ある頃から「ちっちゃいおっさんだな」と心の中で思うようになって、今はただ面倒臭いと思うだけです。それが原因なのか分かりませんが、この上司と話をしていると鼻水やくしゃみが出るようになりました。どうやらアレルギーになったようです。
井野辺 クシャン! あー、なんか昔の上司を思い出しちゃって、僕もアレルギーが感染したみたい。
Biki この相談者はそういう上司をうまく扱っているみたいだね。ちっちゃい人と戦わずにアレルギー反応を起こす程度で何とかやっているようだから。
井野辺 でもアレルギーもつらいですよ。クシャン!
Biki ちっちゃいから花粉みたいになっているんだろうな、きっと。
井野辺 なるほど…じゃないですよ。本質的ではない細かいことばかり言う上司には、一体どう対処すれば良いのでしょうね。
ちっちゃいヤツほどキャンキャン言う
Biki 細かいだけならともかく、怒鳴ったりキャンキャン言ったりしてくると、もっと面倒臭い。
井野辺 あー、やだ。ほんと、キャンキャン言う人っていますよね。
Biki だいぶ昔の本だけど、2019年に亡くなった橋本治さんの『上司は思いつきでものを言う』(集英社新書)という面白い本に、「どうしようもないつまらない上司の発言は『反論せずに呆れろ』」と書いてあったな。
井野辺 呆れる?
Biki そう。あまりにつまらないことを言われたら、「へ~」なんて言って、無言で何かに納得したようにうなずいて、その場を去ってしまう。そうするのがその上司にとってすごいダメージになる、というようなことだったかな。
井野辺 それは効きそうですね。…効くかな。かえって火に油を注ぐことになるような気もするな。
Biki ま、なかなかそこまではできないよね。多分、そこまではやらない方が良いと思う。せいぜい視線を外さずに目をじーと見て、最小限の「はい」とだけポツンと言って、反応をほとんどしない、ぐらいがいいかも。目を見るのが大事。でもにらまないでね。目で「呆れ」を柔らかく表現しましょう。
井野辺 この相談者の方は「昔は腹が立っていた」らしいですが、どうやって乗り越えたのでしょうか。
Biki 「ちっちゃいなあ」と思えるようになったというのがポイントだろうね。腹が立っているうちは、ある意味まだその上司と同レベルか下の精神レベル。「上司のくせに」と腹を立てていること自体、上司の方が「上」であるべきだと無意識に思っている証拠です。自分の精神レベルがその「ちっちゃなおっさん」より上になれば腹は立たなくなる。
井野辺 そんなものですかね…。
Biki 腹を立てているうちは自分自身もちっちゃい人間になっていると思った方が良いね。
井野辺 それを乗り越えられないと自分も成長できないどころかむしろ小さくなっていってしまいますね、確かに。
Biki とはいえ、乗り越えようとしても、怒鳴られたり、キャンキャン言われたりすると、なかなか難しいよね。
井野辺 そうですよね。イヤになっちゃうし、声をかけられるだけで心が重くなっちゃう。