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Biki 最後に、大阪のおばちゃん交渉術の3。大阪のおばちゃんの口癖の1つが「にいちゃん、かっこえーな、好きやわ~」

井野辺 そういうイメージありますよね、確かに。

Biki ポイントはおばちゃんが相手を一方的に好きだということ。もちろん交渉の手段として言っているのだろうけれど、どうも実際に「好きやわ~」と口に出すことで本当に好きだと自己暗示にもかかっているみたいです。それがポイント。つまり、交渉相手のことを一方的でいいから「好きだ」と思い込むことです。

井野辺 えー、例えば本部長とかを好きになるということですか……。難しいなあ。

Biki だから自己暗示で構わない。そして単に好きだというだけでなく「本当は私の提案を分かってくれていて、やらせたいのだけど、事情があってなかなかOKを出せないのだな」と思い込み、「いい人だなあ」と思うようにする。

井野辺 それって、交渉とどう関係するのですか?

Biki だって、相手が自分のことを好きだと思っていると感じたら誰でも気持ちがいいでしょ。

井野辺 そりゃそうだ。

Biki 逆に「こいつばかだな、本当に分からないやつだな、こんなやつにだけはなりたくないな」というような「嫌いだ!」オーラが出まくっていると、「賛同してやるものか!」ってなっちゃうでしょ。

井野辺 そうですよね、普通。

Biki 自分のことを好きだと思ってくれている人を何とかしてやりたいと思うものです。これ、ロジカルでも何でもないけど、とても大事なこと。相手が偉くなればなるほど、人間として好きというような感情は持ちにくいものだけど、それを無理にでも持つと、空気が変わって交渉が成功する確率が上がります。もちろん、大阪のおばちゃんのように本当に口から「好きやわ~」と言うのはさすがにだいぶ変だけど……。

井野辺 難しそうだけど今度やってみようかな……。

Biki ぜひぜひぜひ。

井野辺 そんなに近づかないでくださいよ……。

[♪エンディングの音楽♪]

瀬川秀樹のミニ解説

・交渉は相手が何にこだわっているか、どこが刺さるポイントかを見いだして、相手によってアプローチを変えよう
・ロジカルに魅力のあるストーリーを作るのが基本だが、「諦めない」「近くにいる」「相手のことを好き」という大阪のおばちゃんの交渉術を実践してみよう

*このコラムはフィクションであり、実在する会社・社員とは関係ありません