全4666文字
PR
登場人物紹介

Biki(≒瀬川秀樹)
数年前までリコーに長年勤め、新規事業開発センター副所長や未来技術総合研究センター所長を歴任。現在はベンチャーから大企業まで幅広く新規事業のメンターや若手育成研修などを行っている。

(イラスト:勢川びき)
(イラスト:勢川びき)
井野辺くん(井野辺祥雲)
大企業に勤める元エンジニア。入社10年目。現在は新規事業の立ち上げを行っている。

[♪オープニングの音楽♪]

Biki 深々とした夜の闇に心を休めるとき、いかがお過ごしでしょうか。大企業の中でいろんな壁にとらわれてモヤモヤしている若いアナタの背中を押す「ラジオ風コラム」の時間です。お相手は私Bikiおじさんと……。

井野辺 いのべです……。聞いちゃいましたよ。

Biki はい、年末も押し迫ってきたし、連載も15回という区切りなので、今回が最終回です!

井野辺 なんかずーっとやっていたような気がするけれど、終わるとなるとあっという間のような気もします。

Biki 人生そのものですね! で、最終回のご相談は?

井野辺 最終回だし、私からお題を提供しますね。

Biki まだあんなに相談カードがあるのに。

井野辺 最終回ぐらいいいじゃないですか。

Biki 前にも井野辺くんからのネタがあったような……。

井野辺 気のせいですよ。実は最近同僚が会社を辞めちゃって。本人は「やりたいことが見つかったから辞めます!」といって明るく去っていったのだけど。

Biki いいじゃん。

井野辺 ウチの部署の部長がかわいそうで。他の部長連中から「部下が会社を辞めるというのはマネジャーとして最大の失態だ」ってあちこちで言われているようで……。私みたいな若手にまでそういうのが聞こえてきます。

Biki いるよねー、そういう管理職連中。で、井野辺くんの上司は?

井野辺 ウチの部長はケロッとしていて、「いいの、自分に目覚めたのだから」とか言っています。

Biki いいじゃん、それなら。

目覚めて自分で

井野辺 そうなんですけど、今年から私もたった3人だけど部下を持つ身になって、もし部下が会社を辞めるとなったらと考えると怖くて。

Biki なにが怖いの?

井野辺 だって、やっぱり管理職の仕事は部下にしっかり仕事をさせることで、そのために例えばモチベーションをアップさせるわけでしょ。それなのに部下が辞めちゃうというのはうまくいっていない証しみたいなもので、「マネジャーとして失格!」なんて言われるのは怖いじゃないですか。

Biki じゃあどういう対策をするの? 部下が辞めないようにするために。

井野辺 え? えーと、仕事が面白いようにするとか……。

Biki そうだよね。今の井野辺くんの部署は新規事業の開発部署だよね。既存事業部から異動してきた人が多いと思うのだけど、みんな仕事を楽しんでいる?

井野辺 異動直後はみんな戸惑いますね。「新規」というのは「こうすれば良い」ということが確立していないので、自分であれこれ考えて色々やらないといけないので。

Biki そうだよね。自分で考えてやる、というのが大事で、それをやっていると「目覚める」人も出てくる。

井野辺 異動前は寝ていたのですか?

Biki そういうわけじゃない(笑)。けど、「そうだ、私はこういうことがやりたかったんだ」と気づいて、「自分」に目覚める。会社を辞めちゃった井野辺くんの同僚みたいに。

井野辺 だからあんなに元気に明るく去っていったのかなあ。

Biki 新しいことに挑戦するためには、自分で考え行動する人が必須です。なので、特に新規事業の開発などに関わる人の中から、目覚めて会社を辞める人が出てくる確率は高い。

井野辺 じゃあ、Bikiさんの部署でも……。

Biki ちゃんと統計を取っていたわけではないけど、他の部署より辞めちゃった人が異様に多いのは確かだな。私も井野辺くんの上司のように「いいじゃん、それで」って言っていた。

井野辺 いいのですか? それで。