2019年4月から順次施行されている働き方改革関連法では、定例休暇の取得推進が大きな狙いの1つです。企業は従業員の有給休暇取得に義務を負います。しかし小規模なプロジェクトなどでは、メンバーの休暇取得がプロジェクトの阻害要因となってしまうことがあるのも事実です。
メンバーの休暇取得がプロジェクトにどんな影響を与えてしまうのか、トラブルにならないための対策は何か、以下で見ていきましょう。
SEの黒川が、プロジェクトマネジャー(PM)の園田に尋ねた。
「有休取得推奨週間って何ですか?」
先月「働き方改革関連法」について調べ、厚生労働省のリーフレットも手に入れていた園田は、待ってましたとばかりに答えた。
「今年の4月から順次働き方改革の関連法が施行されていることは知ってるよね。この法律のポイントの1つに年次有給休暇の取得がある。会社は、従業員の有給休暇の確実な取得を促さなければならない。その手段として、時季指定有給休暇ってのがある」
「時期指定?」
園田は手近な書類をデスクの上で裏返して、文字を書いた。「時季」と。
「お前みたいに、ただ休めと言っても素直に休まないやつがいるだろ。特に年間10日以上の有給休暇が付与されている場合、なかなか取得が進まないのが実態だ。だから、会社が時季を指定して、この日に休めって指定するわけだ」
黒川はけげんな顔をした。
「そんな。指定なんかされたら困るじゃないですか。全員一斉に休むわけでしょ?障害なんかで、お客さんから急ぎの電話が入ったらどうするんです?」
インフラ担当らしい黒川の言葉に園田はうなずいた。
「だな。だからうちの会社の場合、こういう運用にしている。まず年度の始めに有給取得の計画を立てさせる。取得予定一覧表を記入した覚えはあるだろ?」
「はい、そういえばありましたね。自分はとりあえず適当に入れておきましたけど」