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SBIと次世代金融の合弁設立

 日立ペイメントが将来性を見込み、より経営資源を振り向けているのがPOS事業だ。QRコード決済などキャッシュレスの進展を支えるデータ獲得基盤と位置づける。

 旧プリズム創業者で、現在は日立ペイメント副会長を務めるロニー・アントニー氏は「インド政府の後押しもあり、キャッシュレス決済は絶対に伸びる」と言い切る。

日立ペイメント副会長を務めるロニー・アントニー氏
日立ペイメント副会長を務めるロニー・アントニー氏
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 ここでもPOSの決済処理を請け負うだけでなく、新サービスの創出を目指す。その切り札が、SBI子会社でPOSの加盟店開拓を手掛ける「SBIペイメントサービス」への出資だ。日立ペイメントは2019年1月、SBIペイメントに約26%を出資し、合弁会社にした。

合弁会社のビジネスモデル
合弁会社のビジネスモデル
決済データを新ビジネスに活用
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 SBIの顧客基盤は膨大だ。顧客数は約4億2000万人で日本の総人口の3倍以上。預金総額はインド国内の2割を占める。POSを通じた1日当たりの決済件数は約150万件で「これを2019年度中に2倍にする」(SBIで決済や新規事業の責任者を務めるラビンドラ・パンデイ氏)と野心的な目標を掲げる。

SBIで決済や新規事業の責任者を務めるラビンドラ・パンデイ氏
SBIで決済や新規事業の責任者を務めるラビンドラ・パンデイ氏
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 日立ペイメントは合弁会社を通じて、POSの運用台数を拡大できる。現状、SBIが提供するPOSの3割は他社が運用しているが、これを日立ペイメントに切り替える商機が生まれる。

 これだけでも利点は大きいが、合弁会社の設立にまで踏み込んだ狙いは別にある。POSの決済データを分析し、FinTech関連の新サービスを生み出そうとしているのだ。

 これまで日立ペイメントのPOS関連事業は決済処理の受託にとどまっていたため、「データが我々の目の前を通り過ぎていくだけだった」(日立の塩塚啓一副社長)。合弁会社の設立により、誰がどの店でいくら支払ったのかといったデータを主体的に分析できるようになる。日立ペイメントでデジタル事業を統括するナヴテジ・シン氏は「日立のAI(人工知能)技術などを合弁会社に持ち込みたい」と話す。

日立ペイメントサービスでデジタル事業を統括するナヴテジ・シン氏
日立ペイメントサービスでデジタル事業を統括するナヴテジ・シン氏
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 中小の加盟店が購買データを分析したり、ポイントプログラムを手軽に展開したりできる支援サービスを想定する。加盟店の与信審査にも日立の技術を活用できると見込む。具体的には傘下の米国日立ヴァンタラのデータ分析ソフトや日立ソリューションズのポイント管理サービスなどの導入を検討している。