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 UX(ユーザーエクスペリエンス)をデザインするに当たって、検討すべき事柄を5段階で表現したものが「JJGの5階層モデル」です。次の図で示すような活動を各フェーズで実施していきます。

JJGの5階層モデルとシステム構築の各フェーズでの実施事項
JJGの5階層モデルとシステム構築の各フェーズでの実施事項
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 JJGの5階層に従って設計を進めることで、UXに配慮したシステムを構築できます。今回はそれぞれの階層で比較的よく利用する手法を取り上げ、うまく進めるためのコツを6つ紹介します。

(1)戦略フェーズ
どうすれば実り多いインタビューにできる?

 戦略フェーズでは、ユーザーを知り、システムのコンセプトを定めていきます。このフェーズにおける活動として最もポピュラーなものがインタビューです。インタビューによってユーザーの不満やニーズなどを把握できます。

 みなさんはインタビュー経験はあるでしょうか。アンケートを使った情報収集の経験はあるという人は多いかもしれません。

 アンケートは数多くのユーザーからの意見を収集でき、量的な評価がしやすいというメリットがあり、一般的によく使用される情報収集の手法です。しかしながら、質問項目として記載した内容についてしか回答が得られない、一度アンケートを配布してしまうと質問項目の変更/追加が難しく、それ以上深掘りした質問ができないというデメリットがあります。

 質問者が取得したいと思っている情報を漏れなく引き出せる完璧な質問項目を初めから用意できればよいのでしょうが、難易度が非常に高く、ほとんど不可能と言ってもよいでしょう。

 その点、インタビューは、あらかじめ用意した質問項目に加えて、回答状況に臨機応変に、質問内容を深掘りする、質問内容を変えるなどの対応が可能です。すなわち、ユーザーから引き出したい情報を効果的に収集するために質問をコントロールできるのです。そのため、サービスの利用文脈の把握、抱える問題や不満の本質的な原因の特定が重要なUXデザインの活動においてはよく使用される手法です。

 なお今回は、「半構造化インタビュー」を紹介します。他にもインタビューには、事前に用意した質問項目のみで実施する「構造化インタビュー」やテーマだけを決めて特に質問項目を用意せずに実施する「非構造化インタビュー」など、いくつかの種類があります。想定したサービスなどに対するユーザーの考えや価値観を引き出したい場合には、あらかじめ用意した質問に加えて、状況に応じて適宜質問を深掘りする半構造化インタビューの形式がお薦めです。

 インタビューを実施してみると身をもって得られる気付きが多くあります。未経験の人はぜひチャレンジしてみてください。とはいえ、回答者から価値ある情報を引き出せるかどうかは、インタビューのやり方に左右されます。ここでは、実り多いインタビューとするためのインタビュー準備、インタビュー本番でのポイントを紹介します。