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 情報システムのUX(ユーザーエクスペリエンス)のデザインについて、関係者からのダメ出しの意見に振り回されたことはないでしょうか。関係者の意見に対して説明のよりどころとなるのが「UXデザインコンセプト」です。

 UXデザインのコンセプトは、対象とするユーザー像とその利用シーンを定義することによって明確化します。そしてユーザー像や利用シーンは、UXをデザインするときによく用いられる「JJGの5階層モデル」でいえば、「戦略」と「要件」のフェーズを通じて整理することができます。

JJGの5階層モデル
JJGの5階層モデル
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 前回解説した戦略フェーズでは、「システムを使うユーザーの目的」や「利用するユーザーの特徴や要素」を洗い出し、対象とするユーザー像(ペルソナ)を定義しました。次の要件フェーズでは、戦略フェーズで定義したユーザーの視点からシステムを使う姿を描き、ユーザーにとって重要な要件を洗い出します。以下では、要件フェーズの進め方を詳しく見ていきましょう。

ユーザーの要件を洗い出す

 要件フェーズでは、戦略を実現するために、どのような機能をどのように提供すると良いUXが生まれるのかを考えます。具体的には、次の4つのステップで進めます。

STEP1:ユーザーにとって重要な機能を考える
STEP2:ユーザビリティーの方針を決める
STEP3:アクセシビリティーの方針を決める
STEP4:「UXデザインコンセプト」として明文化する

 それぞれのステップを、順に詳しく説明していきます。