米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)がAI(人工知能)やロボット、宇宙にかける壮大な野心をあらわにし始めた。2019年6月4日(米国時間)から米ラスベガスでカンファレンス「Amazon re:MARS」を開催。AIやロボットによって社会を変革する事業に全社をあげて取り組む姿勢を示した。
機械学習(Machine Learning)、自動化(Automation)、ロボット(Robotics)、宇宙(Space)――。「Amazon Devices and Services」を統括するデイブ・リンプ(Dave Limp)上級副社長は初日の基調講演で、Amazon re:MARSのテーマを4個挙げた。MARSはこれらの頭文字である。
実は昨年まで、アマゾン創業者のジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)は個人の立場で、前身のイベント「MARS Conference」を招待客限定で開催していた。それをアマゾン主催のイベントに衣替えしたのがAmazon re:MARSとなる。これまでは宇宙開発など「ムーンショット」級の事業開発はベゾスCEOの個人的な野望と位置付けられてきたが、いよいよアマゾンが会社として取り組み始めた。
「政治家、起業家、科学者、宇宙飛行士。様々な立場の人々がカンファレンスに集まり、AIやロボットに関するビジョンを共有することになる」。アマゾンのリンプ上級副社長はカンファレンスの概要をこう語った。カンファレンス初日となる6月4日にはアマゾンによる新技術の発表などはなかったが、2日目の6月5日にはドローンを使った商品配達の取り組みに関する進捗状況を発表する予定だ。また3日目の6月6日にはベゾスCEOが基調講演に登壇し、AIやロボット、宇宙開発に関する自身のビジョンを明らかにする。
ロボットとナノテクノロジーで地球を掃除
Amazon re:MARSはアマゾン以外の人々や企業が中長期的なビジョンを社会に対して提示する場にもなっている。6月4日の基調講演には映画「アイアンマン」の主演俳優であるロバート・ダウニーJR(Robert Downey Jr.)氏が登壇し、ロボットとナノテクノロジーによって地球を掃除することを目指す団体「Footprint Coalition」を2020年春に設立すると発表した。
初日の基調講演にはアマゾン以外のロボットメーカーも登壇し、実際にロボットを稼働してみせた。ロボットが自然でどこかユーモラスな動きを見せるたびに会場が沸き立った。その模様もお伝えしよう。