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 ドローン配送の数カ月以内の実用化、音声AI(人工知能)「Alexa」のより自然な会話、配送センターでの荷物の仕分けミスを大幅に減らすロボット――。2019年6月5日(米国時間)に開催された米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)のAIカンファレンス「Amazon re:MARS」の2日目基調講演は、新サービスの発表が目白押しだった。

 最大のヤマ場はアマゾンの消費者向け事業担当CEO(最高経営責任者)であるジェフ・ウィルケ(Jeff Wilke)氏が配送に用いるドローンの新型機を発表した瞬間だった。「たくさんのデザインを検討してきましたが…」とウィルケ上級副社長が言い始めるとステージの上手側にスモークがたかれ、音楽とともにドローンの実機がせせりあがってきた。

アマゾンの最新ドローン
アマゾンの最新ドローン
出所:米アマゾン・ドット・コム
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 「これが我々の最新のドローンです」

 5ポンド(約2.27㎏)以内の荷物であれば15マイル(24.14㎞)の距離を30分以内で運ぶ。最新のAIが人間や動物などがいないスペースを見つけ出し自動で飛行する。あらかじめ設定された目的地に向かって飛行するが、予期せぬ障害物があれば接触を回避する。最大の難関だった電線も避けられる。自律飛行が可能で「独立して安全だ」とウィルケCEOは自信たっぷりに話した。

 ドローン配送は「Amazon Prime」会員向けの米国での配送サービスの時間を2日から1日へ、あるいはさらに短縮する切り札として同社が期待を寄せる。2016年12年には英国で実証実験を開始した。具体的な場所は複数の政府機関や規制当局と話し合っている最中だが、数カ月以内に実用化するという。

ユーザーが話していないニーズをAlexaが推測

 音声アシスタント「Alexa」とより自然な会話ができるようになる技術「Alexa Conversations」も発表した。現在は「Alexa、今日の天気を教えて」などと短いフレーズで指示をしなければならないが、Alexa Conversationsによって、家族や友人と話しているときと同様の切れ間のない自然な会話ができるようになる。ディープラーニング(深層学習)ベースで開発した自然言語処理機能が、スムーズな会話を作り出す。

 例えば夜の映画のチケットを買う場合。Alexaは単にユーザーが映画を見るだけではなく、夜に遊びに行きたいというニーズがあると認識し、関連する行動の候補を事前に予想したうえで、複数のサービスを提示する。Alexaが映画の開始時間の候補を提示しユーザーが時間帯の希望を伝えると、Alexaは映画館の席を予約するだけでなく、さらには映画館の近くのレストランの希望を聞いて、そこをオンラインで予約してくれる。ライドシェアの「Uber」も手配してくれる。まるでとてもよく気の利く秘書と話すように、会話の流れは非常にスムーズだ。