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 自動運転における電源構成では、車両制御や通信と同等の技術水準や信頼性が求められる。加えて法規への対応も必要だ。そのためには、様々な要素を検討しなければならない。ツールなどを活用し、もれがないようにISO 26262のVモデルで繰り返し評価・検証することが重要となる。(日経 xTECH/日経Automotive編集部)

 自動運転車のための車両パワーネット(電源ネットワーク)構成の設計は、法規及び機能安全の考慮が大きく影響する。

 例えば、電源ネットワークにおいてISO262621)に記載されている機能安全の水準を満たすことに加え、国連欧州経済委員会(ECE)が定める自動車の世界統一法規を検討しなければならない注1)。また、電源ネットワークの冗長性を検討する際には、車両機能、自動運転レベル、セーフストップの要素の検討も必要だ。

注1)主にブレーキに関する「UN/ECE R13-H」と、主にステアリング装置に関する「UN/ECER79」の法規への対応。連載の第1回を参照。

 今回は、さらに検討すべき要素の例を説明する。レベル3以上の自動運転を実現するための電源ネットワークの構成として、冗長性に関する技術要求と法規要求を満足するための前提となる電源構成を具体的に考える注2)

注2)ここでは電源ネットワークの構成や機能だけに注目した検討内容としており、詳細な部品の故障率などは考慮していない。そのため、例示した構成案だけで自動運転の電源ネットワークを構築できるものではない。

 以下の説明ではハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)といった電動化した車両の設計を基にした。

 いくつか考えられる構成案の中から2例として、構成Aと構成Bを図1に示した。構成A、構成Bとも、電源側には300Vといった高電圧(HV)や48Vなどの電圧を想定した。第1経路(ch1)は主となる電源経路で、14Vで設計している。ch1には、制動装置(ブレーキ)やステアリングなどの安全に関連する制御系の部品「R1」の他、安全に関連しない部品「RBase」も含む。

図1 電源故障後に車両の機能を継続することを考慮した電源構成例
図1 電源故障後に車両の機能を継続することを考慮した電源構成例
第1経路(ch1)が主の電源経路。構成A、構成Bともに第2経路(ch2)を追加実装して冗長化している。(出所:ボッシュ)
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 この構成をベースに、自動運転用の電源ネットワークを2系統用意する設計であれば、14Vの仕様の第2経路(ch2)を追加実装するのが容易な方法となる。構成A、構成Bとも同様だ。ch2には、自動運転のために必要となるブレーキやステアリングなどの制御系の部品「R2」に加え、ch1と同様に14Vの電池を配置して冗長化する。