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 人工知能学会は2019年6月4日、新潟県の朱鷺メッセで第33回全国大会を開催した。冒頭に同会会長で三菱ケミカルホールディングス 先端技術・事業開発室 デジタルトランスフォーメーショングループ Chief Digital Technology Scientistの浦本直彦氏が登壇。三菱ケミカルにおけるデジタル改革の経験を披露しつつ、現在のAI技術が抱える限界について持論を述べた。

人工知能学会の浦本直彦会長
人工知能学会の浦本直彦会長
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 浦本会長は日本IBM東京基礎研究所などを経て2017年6月に三菱ケミカルホールディングスに移籍。2018年に人工知能学会の会長に就任した。1986年に発足した同学会で、17代目にして初となる民間企業所属の会長である。

 同学会の正会員数は第3次AIブームが始まった2012年以降、右肩上がりで伸びている。2019年3月時点でピーク時を超えて4500人超に達した。

人工知能学会の正会員数と学生会員数の推移
人工知能学会の正会員数と学生会員数の推移
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 企業が加盟する「賛助会員」の数は輪をかけて急上昇している。2019年3月時点で、2011年比10倍近い249社に伸びた。AI技術に企業がかつてない熱視線を注いでいるのが分かる。

賛助会員数の推移
賛助会員数の推移
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 企業がAI技術に目を向けたきっかけの1つが深層学習(ディープラーニング)だったのは間違いない。深層学習を掲げる論文タイトル数は年を追うごとに増加している。CNN(畳み込みニューラルネットワーク)や転移学習など関連するキーワードの論文も増えている。

2012年~2019年の全国大会論文タイトルキーワードの推移
2012年~2019年の全国大会論文タイトルキーワードの推移
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 浦本会長自身、三菱ケミカルで様々なAI導入プロジェクトを手掛け、成果を挙げたという。

 化学プラントのプロセス異常をAIで事前検知するプロジェクトでは、標的となる異常が年1~2回ほどしか発生しない低頻度のもので、異常時のデータを大量に取得するのが難しかった。そこで1000個規模のセンサーが常時生み出すデータを入力とし、複数の統計・機械学習の手法を試した結果「最終的にはいいモデルができ、異常をきちんと言い当てた」(浦本会長)という。

化学プラントの異常を事前に予測
化学プラントの異常を事前に予測
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 フィルム製品の目視検査を画像解析に置き換える品質改善プロジェクトにも取り組んだ。現在は実ラインで検証中で、全ラインへの展開を予定している。このほか、熟練従業員の知識を継承した質問応答システムも開発した。