プラネタリウムといえば高い天井に星を写すドーム型シアターを思い浮かべるだろう。しかしVR(仮想現実)技術を使ったプラネタリウムは場所を問わない。どこでもプラネタリウムを実演できる。
そんなVRプラネタリウムを開発した1社が、コニカミノルタグループのプラネタリウム専門会社、コニカミノルタプラネタリウムだ。東京・有楽町にあるプラネタリウム施設「コニカミノルタプラネタリアTOKYO」のアトラクション「VirtuaLink」などでVRプラネタリウムを提供している。
来場者は卵のような形をしたイスに座るが、これは単なる雰囲気作り。必要な設備はヘッドマウントディスプレーだけだ。ヘッドマウントディスプレーを装着してVR空間に入り、星空に関連した人形アニメーションを楽しむ。
特徴はドーム型シアターでは味わえない没入感だ。提供しているタイトルの1つ「ノーマン・ザ・スノーマンVR~雪の国の大冒険~」では次のような具合である。
登場人物は少年と雪だるま(スノーマン)。少年が森で迷子になり、自分で作った雪だるまに助けられるという物語だ。
来場者がヘッドマウントディスプレーを装着し物語が始まると、銀世界に入り込む。雪が降り積もって真っ白になった山々、氷の張った川といった美しい景色が広がる。
顔を動かせばヘッドマウントディスプレーが動きを感知し、違和感なく見える景色が変わる。夜の場面で見上げると幻想的な星空だ。オーロラがゆらめき、流星群が降り注ぐ。
少年と雪だるまは人形で、本当に存在するかのように動き回る。2人の声の聞こえ方もリアルだ。前にいる場合は前から、後ろにいる場合は後ろから声が聞こえる。
来場者はVR空間で繰り広げられる物語をただ眺めているだけではない。VR空間に変化を起こすことができる。例えば特定のシーンで1つの星座を見た状態のまま顔を動かさないでいると、雪だるまがその星座について話し出す。ストーリーを変えない範囲のちょっとした変化だが、VR空間にいるという感覚が強まる。
こうした工夫の積み重ねにより没入感を高めている。仮想世界の一員になった感覚で、星に関係する物語を楽しむことができる。